セーフティーハーネス考 ハード編
2011年 03月 08日
先週の続きで、「セーフティーハーネスを考える」。
前回はソフト編。つまり、セーフティーハーネスはどう使うかから書き始めたわけですが、話はハード面に。つまり、どんなハーネスがいいのか? に至りました。
ソフト面も軽々に結論が出るような話ではないのですが、ハード面もしかり。
KAZIの記事では、
「ハーネスそのものの品質は、EN1095(ISO12401)という規格が定められているので、それに合致した製品であれば、機能的には問題無いと思われる。」
と簡単に流してあります。詳しくは別に誰かが書いてくれるだろうな、と思って。
そして今回、まずは、古い自作ハーネスのテーザーの写真を見て「そんなのすぐに切れちゃうんじゃないの?」という指摘があり、確かに……と思い調べてみたわけ。強度的には持つのかどうか。
まずは、ISO12401ではセーフティーラインとフックに求められる強度はどのくらいになっているのか調べてみたのですが、有料みたいなので断念。8千円くらいなんですけど、ケチですいません。
それではと山登り用のカラビナを見てみると、破断強度24~25kN(約2,500kg)となってます。
自作ハーネスのラインは10mmのダクロンなので破断強度は1500kgくらい。安っぽいナスカンはステンレスの8mm径なので、こちらも破断強度は1500kgくらいか。十分ではないけど、なんとか使えるレベルか。
で、話はハーネス側との接続に。
記事にも書いたように、船側の接続部が水没した場合、ハーネスラインは逆に体を水中に引きずり込む役割を担ってしなうわけで、ハーネス側からセーフティーラインを切り離せないとヤバイことに。
ハーネス側もフックになっていれば外すことが可能ですが、強いテンションがかかった状態ではたしてスムースに切り離しできるのか?
ハーネス側がカウヒッチなどで結びつけられているものだと取り外すのは無理。で、この場合はカッターを持つこと。これも、普通のナイフだと膨張式のライフジャケットに穴をあけてしまう危険があるため、専用のカッターが必須である……と。
ここで、ハーネス側がクイックリリースのシャックルになっている製品もあったが、ウエストマリンの物はリコールされたという情報が入りました。
他にも、ハーネス側がクイックリリースになっている製品は無いのかな? ちゃんと調べていません。
と、このあたり、先週のここの記事を書いた後、皆さんから寄せられたコメントをまとめたもの。
セーフティーハーネスについて考える場合、
ハードウエア側は、
○ セーフティー・ハーネス本体
○ テーザー(セーフティー・ライン)
○ ヨット側のクリッピング・ポイント
の3つに分けられます。
ここまではテーザーに関しての話。
セーフティーハーネス本体に関しては、ライフジャケット兼用か否かで話が変わってきて、膨張式のライフジャケットの普及に伴い、セーフティーハーネスのみの商品は少なくなっているのかも。旧来型のライフジャケットだとその上からセーフティーハーネスを装着するという使い方ができるけど、膨張式だと難しいから。
で、いただいたコメントで膨張式ライフジャケットの欠点として、ハイクアウトから抜けるときにライフジャケットが引っかかるという点が挙げられました。確かに、襟の部分がヒラヒラしているから、そこがライフラインの上段に引っかかる。マニュアルのタブを引っかけて誤膨張してしまうことだってあるかもしれない。
タックの際にハイクアウトから抜けるのが遅れると、あるいはワイルドタックしたときに、そのまま風下に体が残ってしまい、そこでライフジャケットが自動膨張してしまうと余計ライフラインに引っかかってしまって抜けられなくなり危険であった。
という報告が寄せられました。
確かに、考えられるケースです。
膨張式のライフジャケットが出回るようになってまだあまり年数が経っておらず、装着率は増えたものの、実際落水した人は極めて少数。ホントに開くの? 自動膨張式とマニュアルとどっちがいいの? 実際漂流してどのくらい保つもんなの? 等々、????は多いですよね。
逆に、セーフティーハーネスとして体を支える場合を考えると、旧来型のライフジャケットにセーフティーベルトが仕込まれたタイプも体へ当たりが柔らかくなるという意味ではメリットあるのかなぁと、ここにきて感じました。
膨張式ライフジャケット内蔵のタイプだと、今回、コメントで寄せられて評判が良い商品がこちら。
spinlock社のDeckVestシリーズ。
動画もいろいろ出てます。
これだと確かにライフジャケット部がコンパクトで体にフィットしていてよさげ。股ベルトも付いているし。
詳しいインプレッション記事があってもいいですよね。
そうそう、ライフジャケットに関しては、ISO12402-3で定めてあるようなので、こちらも合わせて詳しく取り上げてみたいですね。
以上、ここまで、ゆうさん、蒲郡みかんさん、umihikoさん。コメントありがとうございます。