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ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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VORクルーの条件は?

ボルボオーシャンレースは、アブダビをスタート。
とはいえ、アブダビフィニッシュ同様、なんだか良く分からない。

ソマリア沖に出没する海賊対策といわれてたけど、結局はホルムズ海峡の問題で。イランと西側諸国との対立、とりわけ英米との海戦も辞さずというイラン経済封鎖への反発で、海賊というよりテロですな。テロというより海戦か。いやこれも海賊みたいなものか。
……と、ホルムズ海峡の奥にあるアブダビを寄港地にしたこと自体に無理があったんじゃなかろうか。

ま、各艇、元気に走っている……というか移動しているようだけど。あ、〈サンヤ〉はどーなってるんだ? いったい? わからんす。

ここまで全体の展開としては、〈テレフォニカ〉が快調に飛ばし、〈カンペール〉がそれを追う。低迷ぎみの〈アブダビ〉は、本拠地でのインポートレースでガツンといわせ、なんとか面目を保った感じ。

となると、〈グルッパマ〉と〈プーマ〉は、結構落ち込んでいるのかな? なんか、チーム内の雰囲気は悪いんじゃなかろうか、なんて想像してしまう。

VORの公式サイトや各チームの公式サイトでは、いいことしか書いてないですからね。まあ、当然だけど。
なんかもうちょっと「誰と誰が殴り合いの喧嘩した」とか「スポンサーはおかんむり」とか「給料遅配」とか、下世話な話題も聞きたいですね。パパラッチっぽいやつ。
プロスポーツって、そういうのも楽しむもんじゃないかしらん。

    ※       ※

まだウイットブレッド社が冠スポンサーだった97-98年大会のオークランドのストップオーバー会場をうろついていたら、えらく成績が悪く低迷まっだた中にいた〈Toshiba〉チームの下っ端クルーから、「おお、takaさん。久しぶり」と声をかけられた。

懐かしい顔だった。
デビッド・ブランチフィールドというオーストラリア人で、その何年か前のジャパンカップに出場したオーストラリア艇〈サイクロン〉のボートマネージャーをやってた男だ。

僕よりだいぶ年下だったけど、レース前の準備に一人で日本に先乗りしてきていた。その手助けを海童社で受けており、担当だった僕は奴と二人で作業に当たっていたのだ。
なんたって50ftのそれも外国船であるから、船検なんか無いし。上架するといってもシーボニアは予約でいっぱいということで、城ヶ島の造船所の巨大な乾ドックを手配したり。そうそう、お金が無くなったといってオーストラリアから送金してもらうだけでも、結構苦労した。

二人で三崎の銀行にお金を取りに行き、なんとか受領。やれやれ。
で、デビッドが、
「あのさ、もう一つ頼みがあるんだけど」
「何?」
「あの子をデートに誘ってくれ」
と、銀行の窓口の女の子の方をアゴでしゃくる。
「自分で言えよ」
「無理。言葉通じないし」
「じゃデートも無理だろ」
「食事に誘うだけでいいから」
「しょーがねーなぁ」
ということで、その女子行員に、
「……と、このバカが、今夜食事に行きたいとほざいてますが、無理ですよね」
と、とりあえず聞いてみる。
横で、ペンキの付いたTシャツを着たバカがニコニコ笑っている。
すると、そのカワイイ女子行員、こともなげに、
「いいですよ。6時には終わりますから、裏の通用口で」
と、あっさりok。
「何? どう?」とデビッドはここでもまだ理解できず。
「いいってよ」とあきれ顔のワタシ。
「おお、やった。オイラ、デビッド。今夜ね」と、その娘に初めて話しかけ、僕には、
「ほらね、イケルでしょ」と、してやったり顔だ。
かくしてこの怪しい外人は、港町三浦三崎でナンパに成功したのでありました。

翌朝、ニコニコ顔で現れたデビッド。
「彼女の家に行って、両親に会った。楽しかったよ~」
とニコニコ顔で、
……って、いきなり彼女の家に行ったのか? 両親と会った?

レースでは僕は別の艇に乗っていたんだけど、レース後の片付けと梱包、そして船積みの手配までして横浜港までヨットを運んで仕事は終了。

このての作業って、結構大変なんですよね。
短い間ではあるけれど、ずっと二人で作業していたので、戦友みたいなもんですかね。
と、そこで分かれてそれ以来、会ってなかった。
そして、こ時のオークランドで久々の再開だったわけ。


「えー、〈Toshiba〉に乗ってたの?」
「うん、そう。おいでよ、中見せてやる」
と、呼ばれるままに艇内に入ると、残ったクルー4人くらいで片付けの最中だった。
デビッドは、ここでもまだ若手らしく、先輩クルーに、
「こいつ、タカさん。日本の友達」
と紹介するも、
「自分の仕事終わったのか?」
と、つれない返事。
調子の悪いチームってのは、雰囲気悪いですなぁ。
船に残っていた連中は、お互い口もきかず、目も合わさず、もくもくと作業と続けていた。

「忙しそうだから、いいよ、後で」
と言うも、
「いいのいいの。こっち来て。これがXXでね」
とデビッド、先輩クルーの素っ気ない態度にも動じることなく、マイペースで仕事ほったらかしで僕を案内してくれる。

そうねぇ、世界一周レースのクルーって、このくらい鈍感というか、鷹揚じゃないと務まらないんだろうな、と思った。
ワタシには無理かな。


さて、調子の上がらない〈プーマ〉チームは今、どんな雰囲気なのか?
3月のオークランドには行くことにしたので、様子を伺ってまいります。
by Takatsuki_K | 2012-01-17 12:35 | ボルボ・オーシャンレース