『レース公示』の重要性
2008年 05月 26日
英語では『Notice Of Race』。『実施要項』とも言いますか。
単なるレースの宣伝チラシだと思っている人がいたら大間違い。非常に重要な意味を持ちます。
たとえば、参加資格。
日本のヨットレースだと、参加資格に「有効な船検証を有する艇」なんて気楽に書いてある事がありますが、これ読んだら海外からの参加者は「んじゃ、オイラ達だめじゃん」と判断しますよね。
実際、国際レース(だと主催者は思っているらしい)でそういうのがありました。
で、主催者に直接「外国の艇なので船検が無いのですが」と相談すると。「主催者の裁量で外国艇は船検無しでもOKにします」との答えが。
これじゃまずい訳ですよ。
『レース公示』というのは、『帆走指示書』同様、公的な文書でありそのレースの開催規定の一部なので、ここで参加資格を「船検があること」とうたっているかぎり、主催者の裁量なんていうのは「影でコソコソ謀議した」ってのと変わらない訳で。
ここは、『レース公示』に「日本船籍の艇以外は船検無しでもいい」と明記しないと。
とはいえ、船検のある船が日本船籍の船って事になるわけでしょうから、「外国船籍」なんて簡単に書くと、これまたややこしい事になるのですが。
そもそも、日本以外の国のプレジャーボートで、日本政府が認めるその国の船籍なんて持っているブレジャーボートはかなり少ないようです。日本政府のいう「船籍」ってのは一般商船のものだから。
ワタシも、「香港船籍だから、船検無いけど大丈夫」と言われてハワイからヨットを回航してきて、日本に着いたら単なる香港のプレジャーボート協会の登録証を持っているだけだという事が判明。日本の役人にとっては、そんな登録証はたんなる紙切れにしかすぎず……という事がありました。
ま、船舶免許は持っていたからワタシ自身にはおとがめ無しでしたが、船を入れた代理店の人は日本の船検無しでOKと思っていたようなので、大慌てでした。
ようは、外国艇って一言で言っても、何をもって外国のヨットと認定するのか。
日本の役所としては、「オーナーが日本人ではないというだけの話で、実際は国籍不明の無船検な船」、って事になる場合もあるわけで……。
じゃないと、たとえば、日本に住んでいる外国人がオーナーになれば、日本では船検無しで航海できるのか、という事になってしまうわけですから。
……と、船検制度そのものに難しい問題があるのです。
おっと、話は脱線しました。
『レース公示』の話でした。
参加資格の項は非常に大事で、たとえばジャパンカップ。
http://www.jsaf.or.jp/sailing/japan-cup/2008/notice.pdf
↑この『レース公示』によれば、
IRC部門:
有効なIRC レーティング(エンドースド)証書を所有していること。
IRC Rules 2008 に適合していること。
8月15日以降のTCC の変更は、レーティングプロテストあるいはレーティングオフィスのエラー訂正以外は許可されない。
とあるだけで、大きさには記載がありません。
で、エントリーを受け付けたところ、80ft艇やら30ft艇やら出てきちゃって、「さあどおしよう」となっても後の祭り。
ジャパンカップに勝つために、わざわざ80ft艇をオーダーしちゃったかもしれないオーナーに対し、「50ft以上はエントリーを受け付けない事にしました」なんて話は通るわけがないわけで……。
ちなみに、昨年のジャパンカップでは、
レース公示で参加資格として「IMS GPH510.0 以上635.0 以下」と明記されていました。
http://www.kyc.or.jp/info/2007/japancup/notice_of_race.pdf