ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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カテゴリ:ヨットレースを考える( 130 )

ヨットレースにおける外部の援助問題。
とりわけ、外洋レースでの無線通信時には、それが外部の援助にあたるのか否か、判断が難しいケースが多い。
無線通信の手段が多様化しているので、なんとか明文化して主催者側と参加者側でコンセンサス得ないと、せっかくの通信インフラを活かすことができない。

……てなことをこれまで書いてきました。

「外部の援助」
「外部の援助 じゃ、どーすればいいのか?」
「外部の援助 安全の為ならOK?」
「パールレース 2011」
「無線通信と外部の援助 シドニーホバート2010の場合」
「無線通信と外部の援助 トランパックレース2011の場合」

さてここで、昨年末に行われたシドニーホバートレースでは、まさにこの「無線通信に関わる外部の援助」でプロテストが出ました。
結果は却下に終わった訳ですが、どうも腑に落ちない。

経緯をまとめてみます。

……という前に、抗議書が見当たらないんですけど。

シドニーホバートレースの公式ホームページにでているこれ、
は判決ですよね。

プロテストをしたのはレース委員会。
プロテストされたのは、ファーストホームの〈INVESTEC LOYAL〉。
全長100ftのマキシです。

スタートから一夜明けた2011年12月27日 0630時。Merimbulaの南30マイルということですから、コース中盤ちょっと手前ですね。〈INVESTEC LOYAL〉がテレビ局のヘリからインタビューを受けます。
インタビューも終わりにさしかかったころ、クルーの一人がヘリのクルーに、ライバル艇〈 WILD OATS XI 〉は、メインセールじゃなくてストーム・トライスルを揚げているか? と質問します。

ヘリのクルーは、ヨットのことは詳しく無いので分からない、と答えます。ふーん、ヨットレースの取材クルーがヨットのこと詳しく無いなんて、オーストラリアでもあるんですね。
いや、これは「答えちゃいかん」と思ってトボケたのか?

質問をした方は〈INVESTEC LOYAL〉のクルーといってもタクティシャンでセールメーカーの社長。その名をMichael Coxonという。
ここであきらめれば良かったのに、Coxon社長はあきらめずに、じゃあ、セールの色は何色だ? と聞き返す。
ヘリの取材クルーは、視界内にいる〈 WILD OATS XI 〉のセールはグレイで、鮮やかな色では無い、と答えます。

ストームトライスルは、ISAF-OSRで、蛍光色のピンクもしくはオレンジ色または黄色と決まっているわけで、そうじゃないってことはメインセールが揚がっているということ。
〈INVESTEC LOYAL〉側では、
‘copy that, that’s great news.’
と答えた。

ここまでが、「FACTS FOUND」事実認定ってことで、レース委員会はこれのどの部分がどの規則に違反していると抗議したのか、抗議書が無いのでが分からないのですが、

続く「CONCLUSIONS AND RULES THAT APPLY」が結論と適用規則。
正確には英文を読んでいただくとして、ざっと訳せば、

ヘリの取材クルーに質問したCoxon社長は〈 WILD OATS XI 〉のメインセールを作った(実際には売った?)本人で、かなり軽量に作ったので、壊れてないかどうか心配だっただけ。
だからRRSの規則41(外部の援助)には違反していない。

また、これはCoxon社長の「commercial concerns」ですから「商売上の関心事」ですか……、だから、これは帆走指示書で禁止されている「race information」ではない。

よって、判決は、「抗議の棄却」である、と。


うーむ、わからん。

まだレースの中盤で、ファーストホーム争いしているライバル艇のメインセールが壊れていることが分かれば、その後はなるべく船を壊さないように走ればいいわけで。メインセールがまだ健在なら、こちらも多少のリスクを冒しながらも全力疾走しなければならないわけで。

ここで、ライバル艇のメインセールが壊れているかいないか、これはかなり重要な「race information」であり、その情報をヘリの取材クルーから聞くという行為は、明らかな外部の援助だと思うんだけど。

そう思うから、レース委員会は抗議したんだろうし。

ところがそれをジュリーが簡単に却下してしまったら、この先、参加艇側でも「無線通信に関わる外部の援助」に対してどう規則を守ればいいのか、ますます分からなくなりますね。

「レース中に機走してはいけない」という規則はハッキリしているので、みんな守るわけで。
良いか悪いかよく分からないような規則を自己判断で守るのは難しい。他のスポーツと違って、その場でアウトセーフの判定してもらえないんだから。
自分で、「いや、これは商売上の情報なんだよね」って言いきかせればオッケーなのか。
で、事後にジュリーが裁定することになるのか。

〈INVESTEC LOYAL〉のナビゲーターは本職が弁護士で、オーナーに代わって審問に出席したそうで、ジュリーも本職の弁護士にかかったら形無しか。
なんだか「橋下弁護士にやりこめられる評論家」のイメージ。
まあ確かに、ジュリーの側は、マークルームでどうする? なんてケースは勉強しているんだろうけど、商売上の情報だとどうなのかなんて考えてなかっただろうし。いや、考えていてもらわないと困る。

そして、今回のケースは、抗議したのがレース委員会であるというのも興味深いところです。

抗議の内容(どの規則に違反したと主張しているのか)が分からないのでこれは想像ですが、判決に帆走指示書の49.1も出てくるので、おそらく帆走指示書49.1に違反して「race infomation」を受けてこれが規則41にも違反する、として抗議を出したんだと思われます。

帆走指示書を作ったのはレース委員会なわけで、その帆走指示書にある「race infomation」というのはどういう意味なのか?
レース委員会は今回の交信内容がこれにあたると判断したから抗議を出したわけで。つまり、「ライバル艇のセールの状態を聞く」とういう内容の交信をしてはならないというポリシーの元にこの帆走指示書を作ったわけで。

対してジュリーは、レースに関わる情報でも「個人の商売上の関心事」が優先するという判断をしてしまったわけで。

今後、レース委員会としては、帆走指示書に「あらゆる理由があろうとも、race infomationを交信してはならない」みたいな文章にしなければならないということになりますかね。

ここのところ、ライバル艇側から抗議が出たというケースとは違う問題を含んでもいますね。


今回の事象で、〈INVESTEC LOYAL〉が失格かファーストホームかというのは、実は当事者以外にはたいした問題ではなく、今後のレースではどう判断すればいいのかということが大きな問題なわけです。
そしてこれは、我が国のヨット界でも同様に重要なことだと思われます。

曖昧にしていると、いつかこうして大きな事象となってしまう。
その前にできる範囲で対処しておかないと。
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by Takatsuki_K | 2012-01-10 14:08 | ヨットレースを考える
当ブログでは、過去の歴史からハンディキャップ制度の変遷を振り返ってきました。

何か問題があったから変遷してきたわけで、その原因も考えてみました。

そして現在も、なんらかの問題があれば、なんらかの対処をしなくてはならないわけで、となると、どういう可能性があるかも考えてみました。

ワタシ、今は日本でヨットレースをやっておりません。
じゃあどうするかは、実際に日本でレースをやっている方々が決めることで、これは特に主催者ですよね。

主催者としては参加者の意見を聞きたいところ。

となると、参加者としては、自分の意見をハッキリさせなきゃいけないわけで。
それには、過去の歴史からその変遷を振り返る必要があるわけで……。

ということで、当ブログが役に立つかなと思うわけです。


これを書き始めたのが2008年。ちょうどIMSからIRCに変わるところでした。IMSはORC-Iと名前が変わったので、ちとヤヤコシイですが。

で、「やっぱりIMS(ORC-I)の方がイイ」というご意見もあるわけですが、じゃあなんでIMSからIRCになったのか、その辺りの経緯を振り返ってみる必要があるわけです。

IORの頃が一番楽しかったよなぁ、というご意見もあるわけで、じゃあなんでIORからIMSになったのか、その辺りの経緯を振り返ってみなければならないわけです。


で、我が国にIRCが導入されてから3年経ち、「やっぱりIMSの方がイイ」という意見が出るということは、IRCにも問題点があるということなわけで、じゃあどこが問題なのかを改めて考察してみる必要があるわけです。

そして、「やっぱりワンデザインだよね」と言われ続けて何年も経っていますが未だに……です。これはなんでなのか?

ヨットクラブが機能しているところではクラブレースが活発に行われているようですし、東京湾のスバル座カップなんてエントリー受付開始からわずか3時間半で限定数に達してしまったというではないですか。

ヨットレース熱自体は決して冷めているわけではなく、じゃあいったいここからどうすればいいのか? いや、何も余計なことはしないほうがいいのか? これ、難しいところですよね。
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by Takatsuki_K | 2011-09-13 13:59 | ヨットレースを考える
ジャパンカップの方は少なくとも10艇の出場という原則に達せず、困っているようですけど、誰かあと一人がエントリーすればいいだけの話なんでしょ? どうしても開催したいなら、関係者のうちの誰かがエントリーしちゃえばいいのに。
で、スタートしなくたっていいんだから。

……って、今回自分が出ていたマレーシアのムルデカ・レガッタも、艇数集めの為か、クラブの会長がスタートする気も無いのにエントリーしてました。
エントリーフィーは寄附みたいなもんですか。
オーナー、けして休みが取れないという訳ではなく、一足早く目的地のパンコールに回航。だったらレースにスタートすればいいのに。よっぽどレースに出る気がなかったもよう。
後は期間中パンコールで釣り三昧。で、夜はパーティーでプレゼンテーションに出席、という構成で盛り上げ係と申しましょうか。ま、そういうのもアリかな、と。

結局、8艇エントリーし、5艇がスタート。最初のロングでフィニッシュできたのは僅か4艇。
我々2位でしたが、完走4艇中2位っていうより、8艇中2位っていった方が気分いいもんね。

その後のインショアレースでは、こちらもセールが壊れてリタイア。シリーズすべて完走はわずか2艇というショボいものでしたが、なんだかこれでも結構充実感あるんですよね。
あれはいったいどういう充実感なんだろう。
やっぱり、A地点からB地点へ移動する喜びなのか? これをパッセージレースと称していいのか? そこんとこ、参加者心理は多いに研究の余地有り。

ハンディキャップもレース運営もなにもかも、すべていい加減なんですけどね。これ、「ちょうど良い加減」という意味ではなく、デタラメという意味。

これでも楽しめればそれはそれでいいのかも。
ヨットレースの楽しみなんて、そりゃもう幅広いですね。

   ※    ※    ※

じゃあ日本ではどうか? というと、同じくらいのレベルのフリートもあるとは思うんだけど、トップクラスはそうはいかないですよね。
レベルに合わせたフリート造らないと。

まあ、自然とできるようなもんなんだろうけど。
いや、そこんところがうまくいってないのか。

当NORC(日本外洋レース評議会)を立ち上げたのは2008年5月。「設立趣旨書」によれば、
-------------------------------------
今、我が国の外洋ヨット界は、レーティング問題で揺れています。揺れているというと何やら勢いがあるみたいに感じますが、その逆で、どうも活気がありません。
じゃあいったいどうしたらいいのか?
--------------------------------------
とあります。ちょうどIMSからIRCに移行しようとしていた頃の話ですね。

で、まずレーティングシステムについて書きました。

ベースとなるのは、こちら、
「レーティングシステムを考える」
4話に分けて、これまでの歴史を振り返ってます。

これはダラダラ長い文章なので、まずは3つの論点に分けて問題点を洗い出してみました。

「論点1 IMSの問題点」
「論点2 ハンディキャップ制度そのものの問題点」
「論点3 レベルレースの存在」

この3つの論点から得られるとりあえずの結論がこちら、
「じゃあ、いったいどうすればいいのか?」
ここで、
-----------------------------------------
今は論点2-2絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないという問題を少しでも解消する努力をするべきだと思うのです。
-----------------------------------------
とまとめています。

さらには、「論点4 ワンデザインを掬(すく)えるか」で、
-----------------------------------------
ハンディキャップシステムは、ワンデザインのクラス発展にも寄与するべきで、その為には、ワンデザイン艇種にも公平感のある数値が与えられる必要があると思います。
------------------------------------------
と、2008年時点ですでにこう結論づけているんですけどね。
あれから3年。IRCはどう評価されているのか?

と、ここでさらに振り返ってみると、なんか国産のCRで良かったんじゃないかとも思えませんか?

CRについては、「レーティングシステムを考える 第2話」で解説してあります。

CRにはHSC(ハイスピードコレクション)というブラックボックス的な要素も含まれており、さらに改良しつづけていれば、IRC並の、いやIRCを超える簡易レーティングになっていたんじゃなかろうかと思うわけです。

IRCの自艇持ち込みで海外レースに出ようなんて例はほとんどないだろうから、何も国際的なルールでなくてもいいはずで、逆に、レーティング委員会はより身近にいたほうが、ユーザーの不平不満は解消しやすいかもしれないわけだし。

いやこれ、口出ししにくい外国の機関がオーガナイズしているほうが、不平不満は出にくいと当初は思ったんですけど。あれから3年、どうもそうでもないようで……。

何より、なにも外国の機関にお金を落とすことないですよね。我が国のヨットデザイナーのレベルは高いですから、ナショナルハンディキャップ制度の構築には期待が持てるはずなんだけど。

    ※    ※    ※

で、これ、IMSに代わるジャパンカップ用の、つまり選手権試合用のハンディキャップ制度ということを前提に考えてしまったが故に、国際規格のIRCでということになってしまったわけでしょ?
ここで、国内選手権用にはナショナルワンデザインクラスをという大きな目標を設定して動く必要があると思うんですよね。今の日本のトップクラスのレーシングを見る限り、簡易ハンディキャップではもの足りないはず。レースにならない。

ワタシが描いた日本独自のワンデザイン艇がこちら、
「ニッポンのワンデザイン」
トラック輸送ができて、ヘルムとメインシートが分かれているボートをオーナーヘルムで動かす。
というもの。

「ナショナル・ワンデザインなんて、無理無理」とあきらめていたら、絶対に実現しないわけで……。

当ブログのこのあたり、2008年4月~6月にかけて、自分で書いておいてなんですが、かなりコッテリした内容です。
まあ、読みが外れている部分もありますけど。3年という月日は長い。

そういうのも含めて、今一度じっくり読んでみてください。
左のメニュー下段の日付のボタンから飛ぶのがいいかも。
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by Takatsuki_K | 2011-09-06 09:26 | ヨットレースを考える
ロスアンゼルスからハワイまで、約2200マイルを貿易風と共に爆走する本格的外洋レースがトランスパシフィック(太平洋横断)ヨットレース。略してトランパック。
第一回は1906年……というと、明治39年かぁ。まさしく、伝統の外洋レースですよねぇ。

公式ホームページは、こちら
このホームページ、なんだか文字が重なって表示されてしまってすごく見にくいんですけど。うちの環境が悪いのか?


さて、2200マイルというと、遅いヨットだと2週間くらいかかるはず。長いです。
その間、艇は海のまっただ中にいるわけで、安全を考えると通信の確保は極めて重要であり、それだけに、通信と外部の援助との関係はどのように折り合いをつけているのか? 気になるところです。

帆走指示書(SI:Sailing instraction)には、ロールコール(定時交信)の方法が詳しく記載されており……、ふーん、E-mailがメインなんですね。これがアメリカンスタイルということか?

今、参加艇の方から教えてもらった情報によると、ロールコールのE-mail化は今回からだそうです。
ロールコールのときに無線機の前で順番待っているのって、かなり苦痛ですよね。
でも、その苦労こそがオフショアレースなのだと、この部分にこだわる人もいるのかもしれないけど。
やっぱり、E-mailなら楽だろうなぁ。

で、帆走指示書には、ロールコールのことしか書いてない。
ここで問題にしている無線通信に関わる外部の援助問題については、レース公示(NOR:Notice of Race)の方に詳しく書いてありました。

そもそも「レース公示」とは、そのイベントの内容を説明した公式文書です。
まずはこの「レース公示」を読み、そのレースに出るか出ないか、いやその前に、自分には参加資格があるのか否か、それを判断するための重要な書面です。

「レース公示」を読んで参加することに決めたら、必要書類を集めて提出しエントリーフィーを支払う。

「帆走指示書」はその後、多くは大会直前に提示されるものです。

たとえば、「レース中、株価のチェックができないなら、ワシゃ出ない」という方だっているかもしれないわけで、通信関連の規定は「帆走指示書」より「レース公示」に書いてある方が親切ですよね。


トランパック2010の「レース公示」では、

14 RADIO COMMUNICATION
とあり、
14.1 では必要な無線機の説明。国際VHFと長距離用にはSSBの無線機か衛星電話を搭載せよ、とある。衛星電話のみの場合は、常時電源を入れておくように、と、これはまあよくある文言ですね。

14.2 で、ロールコールの詳細は帆走指示書に示す、とあり、いよいよ次の14.3で無線通信と外部の援助について詳しく記されています。

14.3 COMMUNICATION RESTRICTIONS
Competitors may only utilize weather information that is routinely available throughout the year to the general public without charge, and whose availability is publicly indexed. For example: Competitors may NOT arrange for routers or meteorologists to provide them with advice, custom data, or compilations of public data during the race, no matter how that information is communicated. Competitors may receive regularly scheduled weather broadcasts or weather fax transmissions (e.g. from NOAA, USCG, WWV, NMC, KVM70, or from the Transpac Communications Vessel). Competitors may receive imagery from satellites (e.g. NOAA, APT satellites). Competitors may use any means to retrieve data from the Internet (e.g. from the web, from ftp sites, from email responders), provided that those data are intended for public use without charge, are routinely available for free throughout the year, and are publicly indexed (e.g. can be found via Google). Prior to their preparatory signal, there is no limitation on private services or any other source of data or consulting, except that a competitor that has started may not provide weather information to another competitor that has started, or to a competitor that has not yet started except through the information provided to or from the Transpac Race Communication Vessel. This amends
RRS 41.

長いっす。
まるまる日本語に訳すのは極めて難しいので、どういう意図なのかを読み解いてみます。

まずは冒頭。
Competitors may only utilize weather information that is ……
とあり、「utilize」は利用する。つまり、「気象情報だけを利用できる」とあります。株価のチェックはダメなもよう。

that is 以下で、気象情報といっても、年間を通じて常時一般に公開されていて、「without charge」なものに限るとあり、ダメな例として、専門の誰かを雇ったり、そのアドバイスやカスタムデータ、あるいは「compilations of public data during the race」ですから、レース中に一般公開されたデータを編集や解析したようなデータ」って感じですか──を挙げています。

「meteorologist」は気象学者。「router」ってどんな人だろう? 気象等を解析してコースを指示する専門職ですかね。
ようするに、以前、間寛平さんが太平洋横断したときに馬場さんから受けた無線通信みたいのはダメってことですね。

許されるのが、通常の天気予報放送、気象ファクス。気象衛星画像の受信。で、これらの具体的な局も列挙されています。

これに続いて、
Competitors may use any means to retrieve data from the Internet
とあります。
ここの「means」は方法。「retrieve」はデータの検索。
つまり、どんな方法でインターネットのデータ検索をしてもいい、とあり、例として、webのアクセス、FTPサイトからのダウンロード、あるいはE-mailもOKとなっています。
続けて、
provided that those data are intended for public
use without charge, are routinely available for free
throughout the year, and are publicly indexed

と、インターネットokといっても、無料で誰でもアクセスできるように意図されているもの。例として、googleで検索できるものとなっていますね。
通信手段よりも、やりとりする内容が問題なんだと言いたいんでしょうね。なるほど。

なんかこれ、最初の方にあった文章と同じだけど、こうしてインターネットアクセス自体は自由ということと並べて書かれると、ここでの「without charge」は通信料金以外の課金であると読み解けますね。


続けて、準備信号の前は何をしてもいい、と当たり前のことが書いてあります。
そしてそれに続けて、例外として、すでにスタートした艇はまだスタートしていない艇に対して気象情報を伝えてはいけない、等という記述があります。
このレースは艇の大きさによって時間差をつけてスタートするのでこんな記述も必要なのかと思ったけど、それでもなんかここの文章は変ですよね。
○準備信号の前はどんな情報を仕入れても良い、
ということと、
○レース中は他艇に対して気象情報を提供してはならない
というのは別の話なので、「exept」で繋ぐのはおかしくないですかね?

そして最後に、
This amends RRS 41.
とあります。
「RRS41」は外部の援助ですね。「This」はたぶんこの文章(14.3)全体を指すと思うので、以上のことは外部の援助にあたらない、ということですね。逆にいうと、「14.3」の記述がなければ、インターネットで気象情報を入手すること自体が、外部の援助にあたると解釈される、ということか?


と、こうしてずらずら読んでみると、この文章(14.3)も結構分かりにくいですよね。

14.3の冒頭で、
「以下に挙げる気象情報だけは得て良い」
と書いてあり、後段でいろいろ説明しているのもすべて「得てもいい気象情報はどんなものか?」を説明しているわけですよね?

ということは、気象情報以外の情報を入手してはならないことになりますよね? 
いや、気象情報は以下に説明したもののみが入手可能という意味なのか? 「only」がどこにかかってくるのかが、分かりにくい。

そもそも、ロールコールをE-mailで行うということは、他艇の動向はそれを集計したホームページ等を見て把握するしかないはずで、そこんとこどうするのか?

シドニーホバートレース2010では、大会ウエブサイトの「standings pages」は閲覧して良いとわざわざ明記されてましたから。これは逆に言えば「本来はレース中に参加艇の位置情報を検索することはRRS41に違反する可能性がある」と考えられているから、ですよね?

他にも、14.3の前の方で、
routinely available throughout the year to the
general public without charge, and whose availability
is publicly indexed

 とあり、後段でも、
provided that those data are intended for public
use without charge, are routinely available for free
throughout the year, and are publicly indexed

と、似たような文章がダブっていたりと、読みにくい文章になっています。
なんだか、いろいろ問題や要望が出て、その都度書き足していったらこうなったというような文章です。
こちらも苦労しているんでしょうね。

総合すると、先に紹介した「シドニーホバート2010」では、基本的に外部の情報は極力入れないようにするという方向で。
対して、こちら「トランパック2011」では、基本は自由にという方向なのでしょうか。
と、それぞれアプローチは異なっても、外洋レースに於ける無線通信と外部の援助に関するルールを確立させていこうという姿勢が感じられますね。

   ※   ※   ※

この「レース公示」の先頭にも適用されるルールがズラズラと列挙されているわですが、その中にOffshore Racing Rule (ORR) というのが出てきます。ナニソレ?

ちょいと調べてみたら、Chicago Yacht Club、Cruising Club of America、Transpacific Yacht Clubという3つの米国のメジャーなヨットクラブが2004年にOffshore Racing Association (ORA)を結成。ここで造った外洋レースのルールらしい。

Offshore Racing Rule (ORR)

そんなのあったの、知らんかった。

トランパック2011では、安全規則はISAFのOSRカテゴリー1が適用されるようだけど、さらに加えて、ORRに外洋艇に必要な構造や装備が細かく記載されているもよう。
ここに、無線通信とそれに関わる外部の援助の問題についてなにか記載があるのかなと思ってざっと見てみたけど、無いみたい。凄く長いので目次だけざっと見ただけですけど。
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by Takatsuki_K | 2011-08-23 10:47 | ヨットレースを考える
先々週の続きです。

外洋レースでの無線通信はどのように規定したらいいのか?
シドニーホバートレース2010の帆走指示書があったので無線通信に関わる部分に目を通してみました。

海が荒れることで有名で、これまで何度か大きな遭難事故があり、それでも続けられている、オーストラリア伝統の外洋レースです。

それだけに、安全対策は万全のはず。そこには無線通信は切ってもきれません。

ここでは、安全の確保という意味で、レース中のロールコール(定時連絡)に対する記載が多く、また商業イベントとしてメディアに対するアピールという意味での通信も入っており、記載はかなり複雑なんですが、まずは、この一文、

49. RADIO RESTRICTIONS
49.1 A boat is not permitted to request, and a
boat working private schedules with other
stations is prohibited from passing
information in relation to, weather
conditions or race information, except
where requested by “JBW”, or except as
detailed in SI 40.5 or SI 49.2. No
restriction is placed on the receiving of
weather information broadcast by
Government or commercial stations nor
compliance with SI Appendix 1.


なんか難しい書き方しているけど。
A boat is not permitted to request
 は、RRSのガイドにある、
a boat shall not radio transmissions
 と同じで、requestは参加艇側から送信あるいは要求するという意味ですかね。

from passing information in relation to, weather conditions or race information,
「passing information」はごく僅かな情報。
つまり、ささいな情報から気象、レースに関する情報まで=何から何まで、って意味でしょうか。あるいは、気象やレースに関係するごく僅かな情報、という意味か?

ともあれ、ここまででかなり厳しく無線通信の使用を禁じており、これは、

49.5 These restrictions apply to any electronic
transmission medium, including HF, VHF
and mobile cellular and satellite
telephones


携帯電話や衛星電話にも適用される、と明記してあります。
transmission mediumのmediumは、情報伝達手段、媒体、って意味ですかね。transmission mediumで、通信媒体か。受信機ではなく送信もできる機器と強調したいのか。

このあたりの言い回しが、いちいちRRSと違ってますね。

そして、ここから除外されるのが、以下のもの。

JBWというのは、レースのオフィシャル無線中継船のこと。

40.5とは、

40.5 All boats shall report wind strength
and wave heights to “JBW” when
wind strength exceeds 40 knots,
unless otherwise instructed by
“JBW”.


40ノット以上吹いたら、オフィシャルの通信船に連絡せよとあります。
別にロールコールの手順も細かく記載されていますが、ロールコールのときには風向風速はレポートしなくてもいいみたい。嘘つく奴がいたのか? ならいっそ止める、と。

49.2は、報道のための通信のようです。
レース期間が長く、レース中にもテレビや新聞でレースの動向が報じられるわけで、そのために無線通信で取材を受けるということか。
これ、そこから得た情報を元にテレビやラジオで報道され、それを参加艇が聞くと、これまたヤヤコシイことになるということか、49.2であれこれ細かく書いてありますが、これはまた別の機会に。

最後に気象情報のbroadcast(放送)を受信するのはかまわないとあるのですが、それも、政府、民間、あるいは付則1に沿ったものと細かく指定しています。これまで、政府、民間以外の何かで、揉めたのかな。受信するだけなのにね。
その付則1がまたなんかごちゃごちゃ書いてあるのですが、まあいいか。

   ※     ※     ※

で、この前に、

43. SEVERE WEATHER FORECASTS
43.1 Requests for and receipt of information
regarding severe weather shall not be
classed as an infringement of RRS 41.


RRS 41はこれまで散々触れてきた外部の援助。
severe weatherは荒天。どのくらいから先がsevere weatherなのかはよく分からないのですが、この場合は無線通信で情報を求めても外部の援助にならない、ということですか。
これはあくまでも49.1の「receiving of weather information broadcast」にある気象情報放送の受信とは異なり、「Requests for and receipt of information」で無線通信の送受信と解釈していいのかな?

なんか難しいですね。

で、続けて、

43.2 The weather is obtainable from the
sources in Appendix 3 and may not be
repeated at the position reporting
schedule.


とあり、付則3に気象情報の局が列挙してありますが、どうもwebサイトではなく、放送局のようです。もしかして、聞けば答えてくれるのか?

と、ここまでは気象情報の受信、あるいは送信について、かなり細かく書かれていますが、どうやら付則3にあるもの以外、ウエブの気象情報サイトにアクセスすることは認められていないようですね。

   ※     ※     ※

そしてさらにその前に、RRSから変更される項目が列挙されているのですが、そのうちの一つにRRS41(外部の援助)があって、

35.3 Changes to RRS
RRS 41: Whilst racing a boat may retrieve data from the standings pages of the event website or from
http://rolexsydneyhobart.com/standings_lite.asp ,
even if those pages are not publicly available.


と、ここで明確に、大会ウエブサイトの「standings pages」は閲覧していいとしてあります。
この「standings pages」は順位表です。
緯度経度と残航、COG/SOGも記載されていたもよう。
レース公示の方で、主催者支給のトラッキングデバイスを積むとあるので、おそらく昨年の沖縄東海レースで用いたような発信器付きのGPSが各艇に配られ、そこから得られた情報が逐一このページに掲載されるんでしょう。

「retrieve」は「検索」なんだろうけど、こういう使い方するのかな? ウエブページから各艇のポジションを検索するという意味か。まあ、これは英語表現の問題。

そしてこれは、そのページが一般公開されていなくても、外部の援助にはあたらない、とあえて書いてありますね。「standings pages」は公開されているページなんだけど、いちいちもったいぶった書き方。

ともあれ、逆にいえば、わざわざこんな記載があるということは、ここ以外にアクセスすると、外部の援助になるということか。あるいは、帆走指示書49.1に違反するということになるのか。


と、とにかくかなり複雑に記されています。条文が前後していて分かりにくいし。
おそらく、過去いろいろ揉めて、修正に修正を重ねてこんな感じになっているんじゃないですかね?

単に、「通信は自由。それが外部の援助にあたるか否かは、自分で判断せよ。」では済まなかったってことなんじゃないですかね?
オフィシャル公表の順位表(ポジションリスト)を閲覧するだけでも外部の援助にあたるという解釈が過去に出たからこそ、わざわざ Changes to RRS として記載しているんだろうから。

さてみなさんは、どう思いますか?

レースドキュメントはここにあります。

Noticeもいくつか出ているようですが、メンドクサいので今回は見てません。何か変更はあったかも。

トランパックレースの帆走指示書があったら教えてください。読んでみます。
米豪の違いって、あるかも……。
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by Takatsuki_K | 2011-08-16 10:12 | ヨットレースを考える
8月1日からラマダン月(断食)に入ったマレーシア。
断食といっても、陽の出ている間は食べちゃいけないというものなので、早起きして朝食食べて、陽が沈んでからバカ食いするという、極めて不健康な風習で、これが1ヶ月も続くとかなり大変そう。

話に聞けば、イスラム教徒同士の連帯感というのか、試練を乗り越える喜びというのか、結構やりがいのあるものでもあるらしい。
特にKLにはイスラム教徒以外の人も大勢いて、クリスマスのショッピングセンターには大きなクリスマスツリーが飾られたりもするわけで、なおさら余計に、自分達がイスラム教徒であることを再認識し連帯を意識しあう月、ということでもあるようで。

ヨットでもあるでしょ、大きな大会前に減量して計測に挑むときのチームの連帯感。あんな感じ。
まあ、お店の店員なんかは大あくびして投げやりに注文とったりと、昼間はやる気無しって感じ、ワタシら非イスラムとしては困った1ヶ月でもあるんだけど。

そんな試練を乗り越えたラマダン開けは、ハリラヤ・プアサというお祭りになりまして、これは日本でいえば盆と正月が一緒になったような最も大きなお祭りなんだそうな。

このラマダーンというのはイスラム暦で9番目の月という意味。
イスラム暦は完全な太陰暦、つまり月の満ち欠けで1ヶ月を表す。
新月から新月までの約29.5日が1ヶ月。29日と30日の月を交互に置いてこれが12ヶ月で1年。となると1年は354日にしかならないので、太陽周期を元にした1年とは、毎年11日づつずれてしまう。

太陽周期の1年は春夏秋冬の季節を表しているわけで、1年という概念がしっかりと体感できる。そこで、太陽周期の1年とずれないように、日本や中国で用いられていた旧暦では1年が13ヶ月ある閏月をもうけるという工夫をしていたわけだけど、イスラム暦には閏月はない。
でも、実生活では太陽暦を用いているので、ラマダンのシーズンは毎年約11日づつ前倒しになっていくわけです。

マレーシアの独立記念日は、太陽暦での8月31日。
これも大きなお祭りで、派手な花火なんかで大騒ぎになるんだけど、昨年はラマダンの真っ最中に独立記念日があり、地味に終わらせたもよう。
ところが今年は、独立記念日がちょうどラマダン開けのハリラヤとぶつかってしまうわけです。さあ、大変。

毎年、独立記念日にはムルデカレースをやっていたのです。ムルデカ=独立、という意味。
KLから約80マイル北のリゾート地、パンコールまでのパッセージレースと、パンコールで2日間に渡ってのインショアレースというコッテリした内容です。

で、今年はそれがラマダン明けのハリラヤプアサと重なってしまうということでもあり、会員からは、「休暇と重なるから時期をずらした方がいいのではないか」という意見が出、しかし主催者側からは「休暇だからレースやるんだろ」と却下され。これ、イスラム教徒の参加者とそうじゃない主催者との間で「休暇」の意味が食い違っているんですね、きっと。
イスラム教徒にとっては、ハリラヤは家族揃って里帰りする、日本でいえば年末年始みたいなもんで、そこにヨットレースなんて考えらんないということのようで。
そう、あれだけヨットレースが盛んなニュージーランドでも、クリスマスにヨットレースはやらないですからね。

なんて考えると、グアムレースってすごかったんだなぁ。

で、ワタシの乗る日本人オーナーのフネもこのムルデカレースに出るべく上架整備中。作業にあたるマレー人達はラマダン中につきウダウダしていないか? やきもきしつつ、マレー人クルーも手配できずに人集めに苦労してます。

で、カミさんのヨガ仲間のセルビア人を誘っているところ。
セルビアって、どこだっけ?
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by Takatsuki_K | 2011-08-09 09:31 | ヨットレースを考える

パールレース 2011

先週末は恒例のパールレースでした。
冷たく湿ったオホーツク海の高気圧と暖かく湿った太平洋高気圧に挟まれて、停滞前線が新潟から福島方面にかけて日本列島を袈裟斬りに。
移動性の低気圧なら予報もしやすいのでしょうが、2つの高気圧の押し合いへしあいで予報は難しくなります。各天気予報もバラバラ。で、時間経過と共にコロコロ変わり、バ~ラバラのコ~ロコロ。コ~ロコロのバ~ラバラ。で、もうレース艇にとってはくじ引き大会ということになったのか?

だいたいこの距離ならワッチは組まない。風があれば全員デッキに出ており、上りだったら完全にハイクアウト。風が落ちたら中に入り、いや、どんなに暑くても「ダウンビロー」で中に入らされる。けど、寝ていい。ま、寝る場所は指定されるけど。

風があればハイペースでレースは終了するし、時間がかかるとすれば微風ということだから、ある程度寝ることもできる。
……と、こううまくできているワケですが。

今回はどうだったんだろう? 時間はかかったけど、やたらセールチェンジで、休みも無かったんじゃなかろうか。

お疲れ様でした。

出場していないワタシとしては、インターネットのwebサイト「GPV気象予報」がどんだけ当たっているかを検証したかったんだけど。
当たっているか否かを調べるのが、難しいですね。

途中の画像(29日に出ていた30日の夜中03時の予想風向と風速)を取っておいたんですけど、こんな感じで、三河湾から吹き出す風と、相模湾方面から吹き出してくる風で、遠州灘は大混乱ということですか。
f0171353_98311.jpg

確かにこのあたり、特に夜はワケ分からなくなってますよね。
どうですか? レース参加艇のみなさま。
こんな感じだった?

土曜日の相模湾はこう。
f0171353_992386.jpg

これはけっこう分かるな。こんな時ありそう。時間の経過で風向風速が変化しているのか、場所的な違いなのか、海の上にいると分かりにくいですけど。

で、夜の相模湾。
f0171353_910209.jpg

皆さん、のたうち回っていた頃か。いや、スイスイ走っていたのかな?
本当にこんな具合になっていたのか?

で、このてのインターネット気象予報サイト。今はwebを漁ればいっぱい見つかりますよね。
どこが一番信頼できるのか? なんて知識や、艇上からいかにしてアクセスするかなんて技術や装備も、レースの勝敗には大きく関わってくるはず。

いや、そもそも、レース中、艇上からこのてのサイトにアクセスしていいのか? が毎年謎なんで、そろそろここんとこをハッキリさせた方がいいと思うんですね。
もちろん、良い悪いはそれぞれのレース主催者が勝手に決めればいいことなんですが、それを公示や帆走指示書にどう記載するか。
これ、JSAFで指針を出したらどうでしょう?

当ブログでは、以下のようにだいぶ議論は進んでおります。
外部の援助
外部の援助 じゃ、どーすればいいのか?
外部の援助 安全の為ならOK?
……等と、↑ここらでいろいろ書きましたが、改めてまとめると……。


そもそもこれは、RRS(セーリング競技規則)でいうところの「外部の援助」の問題です。

RRS 規則41 外部の援助
艇は、以下を除き、外部からの援助を受けてはならない。
(a) 病気の、または負傷している乗員に対する援助。
(b) 衝突後、離れる為に相手艇の乗員から受ける援助。
(c) すべての艇が自由に得られる情報形態としての援助。
(b)  同じレースに参加している他艇など、利害のない情報源からの、求めてもいないのに与えられた情報。


灯台の灯りなんていうのも、まあ、外部の援助なんだけど、この規則41(c)によって明確に許されている。GPSで位置を知る、なんてのもそうですよね。ラジオ放送の天気予報を聞くなんてのもそう。
携帯電話の177で天気予報を聞く、なんてのも、この規則41(c)でオッケーなんじゃなかろうか。

ところが、レース公示や帆走指示書に、
27 無線通信
緊急の場合を除き、艇は、レース中無線送信も、すべての艇が利用できない無線通信の受信もしてはならない。またこの制限は、携帯電話にも適用する。

なんて記載があれば、話は別。レース中に携帯電話で177の天気予報を聞くのは違反ということになります。

上記の記述は、RRSの「レース公示ガイド」「帆走指示書ガイド」にあるもので、いわば国際標準。

海外では国際VHFのチャンネルを1つ独占し、24時間繰り返しでちょうど日本の177天気予報みたいな放送を流していることが多く、それで最低限の天気予報はこと足りちゃっているんだと思うんですよね。国際VHFは「すべての艇が利用できる無線通信の受信」だから上記の規定で問題なし。

ところが我が国では国際VHFはやっと普及しだしたところで、気象通報もやってはいますが定時配信。ラジオの天気予報も同様。
やっぱり177が聞きたくなるわけで……。

では、日本ではそのあたりを勘案して、最後の、
 またこの制限は、携帯電話にも適用する
を削除したらどうか? 

いやいや、携帯電話で177に電話するというのは「送信」しているということになるから、その時点でダメなわけです。

じゃあどうするか?

インショアレースは、上記、帆走指示書ガイドのママでいいとして、オフショアレースでは、別途ロールコールなどの通信要領があるはずで、それに並べて「通信が許される範囲」を明確に示せばいいと思うんです。

現在、通信手段や情報ソースは多様化しており、「禁止事項」を列挙するのは難しいです。想定外の通信方法や情報ソースがあるはずなので。

ならば「入手してもいい情報」を列挙する方が簡単確実なはず。

そもそも、RRSは改定に改定を重ねて完成度は高く、軽い気持ちでこれをいじると他の部分にも影響してきて面倒なことになる。
よって、RRSの記載やガイドはなるべくそのままにし、別途認めるもののみを記載する。

どこまで認めるかは、それぞれのレース主催者が決めればいいことで、たとえばここで、

27 無線通信
以下を除いて、艇は、レース中無線送信も、すべての艇が利用できない無線通信の受信もしてはならない。またこの制限は、携帯電話にも適用する。
 (a) 緊急の場合
 (b) レース委員会が求めるロールコール
 (c) 177の天気予報

 (以下、列挙)

等と、得ても良い情報源だけを列挙する。
一部のインターネットアクセスも認めるならここに、
 (d) 公式ホームページにリンクされたサイトの一次リンク
などと記載したらどうでしょう?

公式ホームページには、いくつか気象予報サイト等を挙げ、さらにエントリーを済ませた艇からのリクエストも受け付け、リクエストされたwebサイトを可とするか否とするかは主催者側で協議し、承認するならそれも公式ホームページのリストに加え、レース参加全艇でその情報を共有する。

と、これでスッキリすると思うんですけど。

「一次リンク」という表現はちと曖昧なのかもしれませんが、インターネットへのアクセスを認める上では、あるていどの曖昧な部分はいたしかたないかと。曖昧なのが嫌なら、インターネットアクセスは禁止したほうがスッキリすると思いますが。

レース主催者にとっては、「どこまで許すか」で競技の方向性も決められることになり、それはそれでやりがいのある作業になると思います。

一切ダメ、としてもいいし、逆に、「陸上部隊から指示を出してもいい」というルールにしたって面白いのかも。
自転車のロードレースなんかも集団が前後に長く散らばり、選手側からは全体が見渡せず。しかしチームレースなので、全体の状況や作戦は監督が帯同するチームカーから無線で指示を出したりします。
いやこれも、禁止にするか否かで議論があるみたいですけど。

競技のルールというのは、そうやって迷いながらより面白くなるように工夫していくもので、それが主催者側の楽しみであるはずで。議論し、工夫し、試すなど、試行錯誤の過程を楽しみながら、そのイベントの形を創っていけばいいのですが、

今ここでワタシが言いたいのは、
何が良くて何がダメなのか、参加艇側が「レース公示」や「帆走指示書」を読むだけで明確に理解できるような記載にしてほしい
ということです。

何が良くて何がダメなのか、主催者側でもハッキリ決めていないから、ハッキリしない記載になっているんじゃないでしょうか。
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by Takatsuki_K | 2011-08-02 09:30 | ヨットレースを考える

やっぱ、レースでしょ

太平洋横断のトランパックレースがスタート。
オフィシャルサイトはこちら。
日本艇〈ベンガル7〉ちょいと苦戦中?

DIV4の〈Double Trouble〉リタイア……って、やっぱりトラブルに見舞われたのだろうか?

トランパックレースには出たこと無いのですが、エントリーリスト見るとかなり細かくクラス分けしてありますね。
やっぱり、こうしないと勝負にならなってことなのかも。

まあ、トランパックレースは、見て楽しむというより、出て楽しむイベントといっていいのかな?

一方、大西洋横断レースというのもあって、この秋ボルボオーシャンレースに出場するプーマの〈Mar Mostro〉が爆走。2着フィニッシュながら、現在修正トップ。
2975マイルを7日11時間40分ということは、平均デイラン397マイル。
デイランというのは、1日で走った距離です。
通常は正午から正午まで。
普通のクルージング艇だと、デイラン100マイルとか150マイル。1日中サーフィングしながらゴーゴー走ってやっと200マイル超えるって感じなので、デイラン400って、うーむ、爆走。
オフィシャルサイトはこちら。


……なんか、こういうニュース見ていると、日本は「置いていかれ感」あるななぁ。
せいぜいこの秋スタートのボルボオーシャンレースでも見て盛り上がりましょう。

ワタシは、11月にマレーシア西海岸で行われるラジャムーダ・レガッタの準備ですか。その前に、8月末にパンコールまで行くレースに出るって言ってたなぁ。
準備準備。


と、個人的には、今はやっぱりツール・ド・フランスですね。自転車のロードレース。
古い歴史を誇るビックイベントなんだけど、レースフォーマットは主催者任せというあたりが、ヨットレースと似ている。

フランス一周といっても、コースは毎年異なり、平坦なコースなのか山岳か。同じ山岳でも山頂ゴールか否か? 見せ場を作ろうとして石畳の道を入れて大失敗だったりとか、世界中から注目されているだけに主催者は大変そう。

なんだか、選手側のレベルに主催者がついていけてないようで、一昨日はフランス国営放送のオフィシャルカーが選手をひき逃げ。
映像はこちら。
これ、先頭をブッチギリで走っていた5人のうちの2人ですから。事態は深刻。

今年は序盤から落車やそれに巻き込まれるトラブルが優勝候補に及び、波乱の展開です。
これも、コース設定の不備やオフィシャルのコントロールが至らないことによるものか。選手の命にも関わることなので、どうにかしてもらわないと。見ている方も楽しめない。

100年以上の歴史を誇るこの大イベントですらこれですから。主催者というのは大変なんでしょうなぁ。
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by Takatsuki_K | 2011-07-12 09:07 | ヨットレースを考える
いやしかし、もう台風ですかぁ。
と、改めて考えると、ヨットが盛んな国はどこもみな台風は来ない。
ヨーロッパもニュージーランドも台風やらハリケーンやらサイクロンといった熱帯低気圧とは無縁だ。
オーストラリアもシドニーやメルボルンといった南部まではサイクロンは来ないし、米国も南北に広いので、北東部はハリケーン知らず。
日本だけですよ、こんなに台風が来るの。日本列島沿いに通過していくから、北海道にだって台風の影響はあるわけで。

台風シーズンはいったいいつからいつまでか。『海だけの話』に書こうと思って調べたら、1年で最も早く発生した台風は、昭和54年1月2日に発生した台風1号。最も遅いのは、平成12年12月30日の台風23号。
なんと、大晦日と元旦を除いて一年中台風は発生していることになる。

まあ、全部が日本に影響を及ぼすわけではないにしても、日本に上陸した台風で最も早かったのが、昭和31年の台風3号で4月25日に鹿児島に上陸している。最も遅かったのは平成2年11月30日に紀伊半島に上陸した台風28号。

その他、上陸しないまでも、日本列島に近づき影響を及ぼした、あるいは影響を及ぼしそうだと警戒された台風まで含めれば、1年12ヶ月のうち、9ヶ月くらいは台風に悩まされているということになるんじゃあるまいか。

思えば、ジャパンカップも台風との戦いだった。
こちら、ジャパンカップの歴史をご覧頂きたい。
セーラーのみならず、レースの主催者も大変なのだ。
……と、『海だけの話』はどういうオチにしたらいいのか、現在思案中。

    ※    ※    ※

それはさておき。
ロングオフショアレースというのは、もうこれ、人生みたいなものだなぁと、思う。

スタートは皆一緒なんだけど、乗っている艇種はそれぞれ違う。
努力すれば成功するという訳でもなく、運が良いだけでは成功は長続きしない。
時にはベタに漂い、時には嵐に翻弄され。目の前に転がっているチャンスを活かすも殺すも、本人次第である。絶好のチャンスをみすみす逃しているにも関わらず、自分には運が回ってこないと嘆いている人は多い。

ああ、これ、人生也。


ロングレースには、島を回ってスタート地点まで戻ってフィニッシュするいわゆる「島周り」のレースと、A地点をスタートしてB地点にフィニッシュする……これを何と呼ぶのか、「パッセージレース」でいいのか? まあとにかく別の地点にフィニッシュするレースの2つに分けられる。

じゃあ、人生はどっちのパターンなのか?

そうねぇ。
やっぱ当然パッセージレースのパターンなんじゃなかろうかと思っていたんだけど、いやまてよ……、おそらく、どうやら、ひょっとして、島を回ってスタート地点に戻る、島周りのレースなんじゃなかろうか、人生は。
なんて考えた56歳の朝です。
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by Takatsuki_K | 2011-05-31 08:33 | ヨットレースを考える
ジロ・デ・イタリアも、第9ステージにして勝負あったか?

イタリア、フランス、スペインと続く自転車の3大プロ・ロードレースの一つ、ジロ・デ・イタリアをTVで見ている。
マレーシアにいると、時差の関係で生放送を見るのに丁度いいのです。
おまけに日本にいたときはパールレースがあったので、ツール・ド・フランスの一番盛り上がる頃に海の上だったりしたし。

前にも書いたと思うけど、自転車競技もヨット競技同様「何を競うのか?」は様々だ。

ロードレースというのは公道を走る競技だが、同じロードレースでも1日だけのレースと3週間かけて総合を競うレースでは勝負所、見所がまた違うし、トラックをくるくる回る競技もあれば、ジャンプ台みたいので体ごとくるくる回るのもある。デコボコの山道を登るのもあればデコボコの急坂をひたすら下り降りる競技もある。
どれもみな自転車レースだけど、そこで使われる自転車も選手の体つきも大きく異なる。

ジロ・デ・イタリアは全部で21のステージに分かれたロードレースで、上り坂が得意な選手と平らな道で加速するのが得意な選手ではこれまた体つきが全く異なる。
平坦なコースで終わるのか、登りの頂上でゴールなのか、あるいは平坦なフィニッシュの前に登りがあったらどうなのか? コース設定次第で、勝負のアヤは大きく異なってくる。
で、この設定は毎年変わる。

石畳やどろんこ道なんて要素を入れたらどうなるか? 見ている方は面白いのか、走っている方はどうなのか。なんてことを想像しながらコース設定するのは、こりゃまた面白い作業なんだろう。
やり方次第では、誰を勝たせるか、勝たせたくない選手には不利になるコース設定、なんてことだってできてしまう。

これ、映画でいえばプロデューサーみたいなものなのかも。実際にコースを調査し受け入れる地元と折衝したりしてアイデアを提案するシナリオライターみたいな人もいるんだろうし、レースの運営そのものを行う映画監督みたいな人もいるわけで、スポーツイベントって映画作りと同じようなものなのかも。映画作ったことないですけど。

ヨットレースもまったく同じ。
五輪のヨット種目もどうすれば面白くなるのか? アメリカズカップはどうなのか? プロデューサーの腕の見せ所でありますね。なんか苦労しているみたいだけど。いいプロデューサーがいないのか?

ヨット競技も映画と同じと考えると、セーラーは俳優ということになる。プロのイベントなら当然そういうことになるわけで、ボルボ・オーシャンレースなんかまさにこれ。役者次第で面白さが違ってくる。長丁場の人間模様では各艇長のキャラが立ってきて、観客にとってはそこが見所だ。

じゃあ、アマチュアのレースはどうなのか? プロのレースと違って観客はいないから、参加するセーラーが観客なのか?
いや、観客はいなくても、やっぱり出場艇こそが俳優のつもりで参加すれば、あるいは主催者側では参加者一人一人が出演俳優であるという設定で迎えれば、イベント(映画)はうまくいくんじゃなかろうか。

どんな艇を集めて、どんな芝居をしてもらうか。実施要項や帆走指示書は台本みたいなもんですな。
コースや日程、ハンディキャップの設定で、あるていどの筋書きは決まってくる。でも、結末は分からないドラマ。それがヨットレースなんじゃなかろうか。
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by Takatsuki_K | 2011-05-17 10:51 | ヨットレースを考える