ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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トラックに乗せてみる

このブログも結構読者は増えてきたようで、やっぱイラストは重要だな、と思う今日この頃。

さて、「ニッポンのワンデザイン」プロジェクトです。 
この艇の特徴は4tトラックに積めること。
これで、日本全国に遠征し、レースを楽しめるというワケ。

で、さっそくトラックに積んでみることに。

Webでカタログ探して、とりあえず三菱ふそうのファイターFK6シリーズってやつにしてみました。
f0171353_12261382.jpg

それにしても、トラックっていろんな種類があるんですね。買おうと思ったこと無いので知りませんでしたけど。

これは超ロングボデーのFK61FU1Eってタイプで、荷台の長さが9.75m。長げ~。
全幅は2.465mという事なので、ボートのビームもそれに合わせてさらに細身にしてみました。

イケますね。

この下には、荷台の長さが8.51mのFK61FS1Eってのもあり。多少後ろにはみ出るけど、こちらでもOKでしょう。


これでも、昔、長距離トラックの運転手のバイトしていた事があるんですよ。
ヨット専門で、この手の4tロングボディーに乗っていました。
普通免許で運転できるのですが、これそうとうデカイですよ。ホントに普通免許で運転していいの? って感じ。
これで、南は鹿児島から、北は、仙台あたりまでは行ったっけかなぁ。

現地でマスト立てとかもしなきゃいけなかったりするので、2人乗りで運行していました。
トラックってのは運転席の後ろがベットになっているので、交代でワッチ組んで運転すれば延々と走っていられます。
回航するよりずっと楽なので、ついつい無理して大きなボートも乗せてしまい、積載オーバーで捕まったことも……。

幅がはみ出ると特にうるさいようなので、このボートはトラックにぴったり収まるようになっております。


で、普通免許で4トン車を運転できるとばかり思っていたのですが、今回、改めて調べてみたら、2007年6月2日から中型自動車というカテゴリーが出来て、普通免許では最大積載量3tまでしか運転できない事になったらしい。
中型免許なんてのが、新たにできたんですね。

持ってネーよ。

と、思ったら、法律施行前の普通自動車免許を持っていれば車両総重量8トンまでの中型自動車を運転できるんだそうな。
さらに、最大積載量3トン以上5トン未満は特定中型自動車というカテゴリーなんだそうで……。ええい、めんどくさい。なぜにこうもヤヤコシイ制度をあとからあとから作るかなぁ。

とりあえず、我々の世代は普通免許でOK。
この4トンロング車にヨットを積んで、鹿児島だろうが室蘭だろうが、遠征に行けるって事みたいですぜ。

つーか、運送業者に任せるか。普通。
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by Takatsuki_K | 2008-05-30 08:46 | ヨットレースを考える

なぜJ24じゃだめなのか?

昨日は簡単に、
「J24は、やはりちょっと小さいです」
なんて書いてしまいましたが、もう一つ理由があります。
J24はヘルムスマンがメインシートも担当しなければならないという事です。

ワンデザインを普及させるには、やはりオーナーヘルムが重要な要素だと思うのです。
理由は、論点5をご覧ください。

となると、ヘルムスマン=オーナーがメイントリムも担当しなければならない艇種は、どうしても敷居が高くなります。
うまいメイントリマーがつけば、トリマーがボートをコントロールすることになり、ヘルムはとても楽なのです。
オーナー=ヘルムスマンは、ヨットを操る楽しみを手軽に味わえるというワケ。

そういう意味では、Fast40.7はオーナーヘルムに適したクラスだったのです。
オーナーヘルムにしてハンディキャップでレースを行えば、今でも盛んにワンデザインとして活動できていたのではなかろうかと思うので、ちょっと残念です。

で、「ニッポンのワンデザインプロジェクト」は30ftで、オーナーヘルム&メイントリマーは別、という構成になっているわけですね。
f0171353_1234368.jpg

あ、いや、J24がダメと言っているのではないですよ。
そういう層の人達には大人気なわけで、どういう層なのか、は、また後ほど。
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by Takatsuki_K | 2008-05-29 10:33 | ヨットレースを考える

ニッポンのワンデザイン

論点6で、日本に合ったワンデザインの条件を考えてみたわけですが、とにかく、艇数が集まらないとだめなので、ポイントは一つ。
○回航しやすい
或いは、
○陸送しやすい
どちらかです。

J24が未だに人気なのは、トラック輸送がしやすいから。
Fast40.7が、ピークが短かったとはいえワンデザインになれたのも、IORのワントンと比べたらずっと回航しやすかったから。
というあたりが大きなポイントになっていたのではないかと思うのです。

だったら、この2艇種があればいいではないか、と思いますが、ワタシ自身両方に乗って感じるのは、、
J24は、やはりちょっと小さいです。
Fast40.7も40ft艇の割りにコクピットは狭く、レース艇としての乗り心地はもうひとつ……。

そこで、

J24の全幅で全長30ftのボートがあったら、J24並に4トントラックで陸送できるのではないだろうか、、
と考えたのです。

で、さっそく描いてみたのが、こちら。f0171353_19262180.jpg
J24のビームで全長を30ftにするとこんな感じ。ふむふむ、十分イケルじゃないですか。

コクピットの広さも、艇速も、40ftのクルーザーレーサーを凌ぎます。
(と、勝手に想像)

リグは、ちょっと前に描いたMumm30のものをそのまま載せてみました。手抜きですいません。ま細かい所は目をつぶっていただいて。
ガンポールとマストヘッドゼネカーのイマドキ仕様にしてみたので、乗員は6人で動かせるでしょう。
見栄えがするように、女子のクルーも2名入れときました。

当然、バルブキール。
砲弾型は藻がひっかかるし格好悪いので昔のIMSボートっぽい形状です。
で、このキールが上下に可動式になっておりまして、キャビン内のボルトを外してから船台に乗せれば、キールは引き上げられる仕組みにしてみました。
f0171353_1931261.jpg

荷姿はこちら。
f0171353_19323661.jpg

Mumm30の場合、専用のトレーラーに乗せるので、路面とキール下部のクリアランスを最小にできるのです。
だからあの深いキールでも、路面からデッキの上までは3.8mくらいしかありませんでしたから、高さ的には日本の高速道路でもOKということになります。

ところが、日本ではトレーラーでこいつを引っ張るのは法的にも実際にも無理。
となるとトラックに積み込む事になりますが、トラックの荷台は路面からかなり高いので、キールの深いヨットを乗せると高さがものすごいことになってしまうわけです。

J24は昔の型なのでキールが浅く、それが陸送に便利だったわけですね。
ま、ヨットとしての性能は悪くなりますが。

そこで、こいつはキールを引き上げられるようにして、陸送の便を良くしよう、と、こういうわけです。

下架する時は、このまま船体をクレーンで吊れば、キールはそのままズルズル降りてくるので、揚げきったところでボルトを刺して固定する、と、いう仕組みです。

ん? せっかくの引き上げ式キールなのに上の方に出っ張っちゃっているなぁ。
あ、そうか、ドックハウス上端までキールストラットがあるから、キール引き上げたところで全高は変わらないのか。
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バカでした。

このアイデア、ニュージーランドのデザイナー、グレッグ・エリオットの15mスクーナーで実用化されていました。
進水当初乗せてもらったのですが、あちらは水深の浅いマリーナに入る為の工夫だったので、船は海に浮かべたままキールをチェーンホーでガリガリ引き上げます。

で、2本マストなので、マストとマストの間のコクピットフロアにダガーケースがあったんですね。
こっちは、コクピットをここまで延長するわけにもいかないので、どうしたものか。
ここはちょいと構造を工夫しないと。

このプロジェクト「ニッポンのワンデザイン」は、今後も続けてとりくんで行きたいと思います。
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by Takatsuki_K | 2008-05-28 19:46 | ヨットレースを考える
2008年度のジャパンカップはORC-I(旧IMS)とIRCの二本立てで行われます。
で、両クラスとも船のサイズに規定はありません。
「これで、まともなレースができるのか?」
と書きました。
JSAF東海の方が気を悪くされると困るので書いておきますが、ワタシが言いたいのは
「日本の外洋レースの頂点に立つJapanCupには、共通の競技フォーマットが必要なのではないか?」という事なのです。

過去のJapanCupの要項から、参加資格の部分をひろってまとめてみました。

2007 西宮  IMS GPH510.0 以上635.0 以下
2006 三浦  IMS GPH630以下
2005 東海  IMS サイズ規定無し
2004 西宮  IMS GPH520.0~620.0
2003 江ノ島 IMS 資料見つからず
          ORC-C 資料見つからず
2002 西宮  IMS GPH520.0~630.0
2001 浦安  IMS GPH520.0~650.0
          ORC-C GPH 540.0~680.0

GPHというのは、数字が大きいほど遅い≒小さいという事です。
数字だけではピンと来ないかもしれませんが、
Farr31やFirst34.7でGPH620位
SEAM31だと630位
……とこの辺りが昨年度、西宮での下限ということになるでしょうか。

その下だと、
Yamaha31s、PLATU25、Swing31が660~665位
Yamaha30sが680位で、J24で740位となっています。

大きい方は、
旧スレッド(Farr47)が、520位
B&C49が昨年までの数値で517.3となっており、これはジャパンカップの上限をふまえて購入したと聞いています。

N/M68になるとGPHは490位で、関西のJapanCupには出られないということになります。が、今年の東海ならOK。
前に書いた新<スレッド>は、IRCなのですが、ORC-Cを取得したら、GPHは490より小さくなるでしょうから、2007年の西宮ルールでは出場できない事になろうか、という事です。

時代と共にレースフォーマットも変遷していく、というなら分かりますが、このように開催地域によってバラバラな基準の下に参加艇が集められるわけです。

外洋ヨットなどというものは、発注してから手に入れるまで時間がかかります。毎年毎年レースフォーマットが変わってしまったのでは、レース準備ができません。


さて、今年からはIRCクラスも採用される事になりました。
IMSに比べるとずっと手軽に証書を得る事ができるので、参加の間口はぐっと広がったわけです。

そこにもってきて、参加艇の下限はありません。
まあ、小型艇では回航が大変になりますが、24~25ftクラスだと陸送が楽なので逆にこのクラスの参加が増える可能性もあるわけです。J24もトラック輸送あればこその、全日本選手権ですから。活発に活動しているJ24フリートの連中がIRCを取得して20隻ほど参加してきたら、JapanCupの様相はがらっと変わります。

これは悪いことでは無いですよね。

ちなみに西宮で行われる場合は、オフショアレースは無し。で、安全検査もカテゴリー4となっています。
その他の地域では一応オーバーナイトのオフショアは含まれるので、カテゴリーは3。

オーバーナイトありだと、J24でどうよ? って話になるわけですが、昔はクオータートンでロングの島周りとかやっていたワケですから。
J24で鳥羽レースや八丈島レースに出たという話も伝説に残っておりまして……。

レースをとりまく状況はどんどん変わってきています。
IRCクラスで、サイズの上限下限無し、という今年のフォーマットによって、JapanCupの様相が大きく変わるかもしれません。
うまくコントロールできれば、良い方に変わるかもしれないわけで、しかし、深く考えずになんとなくレースを行っていると、主催者がコントロールできないような事態になってしまう危険もあるのです。

なにより、参加者にとって、フォーマットがころころ変わってしまったのでは、「今年は出られるけど来年は出られない」なんて事にもなるわけで、モチベーションなんてあったもんじゃない、、、ワケです。
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by Takatsuki_K | 2008-05-28 08:13 | ヨットレースを考える

『レース公示』の重要性

いつ、どこで、誰が、どんなレースを開催するのか……が書いてあるのが『レース公示』。
英語では『Notice Of Race』。『実施要項』とも言いますか。

単なるレースの宣伝チラシだと思っている人がいたら大間違い。非常に重要な意味を持ちます。

たとえば、参加資格。
日本のヨットレースだと、参加資格に「有効な船検証を有する艇」なんて気楽に書いてある事がありますが、これ読んだら海外からの参加者は「んじゃ、オイラ達だめじゃん」と判断しますよね。
実際、国際レース(だと主催者は思っているらしい)でそういうのがありました。
で、主催者に直接「外国の艇なので船検が無いのですが」と相談すると。「主催者の裁量で外国艇は船検無しでもOKにします」との答えが。

これじゃまずい訳ですよ。
『レース公示』というのは、『帆走指示書』同様、公的な文書でありそのレースの開催規定の一部なので、ここで参加資格を「船検があること」とうたっているかぎり、主催者の裁量なんていうのは「影でコソコソ謀議した」ってのと変わらない訳で。
ここは、『レース公示』に「日本船籍の艇以外は船検無しでもいい」と明記しないと。

とはいえ、船検のある船が日本船籍の船って事になるわけでしょうから、「外国船籍」なんて簡単に書くと、これまたややこしい事になるのですが。
そもそも、日本以外の国のプレジャーボートで、日本政府が認めるその国の船籍なんて持っているブレジャーボートはかなり少ないようです。日本政府のいう「船籍」ってのは一般商船のものだから。

ワタシも、「香港船籍だから、船検無いけど大丈夫」と言われてハワイからヨットを回航してきて、日本に着いたら単なる香港のプレジャーボート協会の登録証を持っているだけだという事が判明。日本の役人にとっては、そんな登録証はたんなる紙切れにしかすぎず……という事がありました。
ま、船舶免許は持っていたからワタシ自身にはおとがめ無しでしたが、船を入れた代理店の人は日本の船検無しでOKと思っていたようなので、大慌てでした。

ようは、外国艇って一言で言っても、何をもって外国のヨットと認定するのか。
日本の役所としては、「オーナーが日本人ではないというだけの話で、実際は国籍不明の無船検な船」、って事になる場合もあるわけで……。
じゃないと、たとえば、日本に住んでいる外国人がオーナーになれば、日本では船検無しで航海できるのか、という事になってしまうわけですから。
……と、船検制度そのものに難しい問題があるのです。

おっと、話は脱線しました。
『レース公示』の話でした。
参加資格の項は非常に大事で、たとえばジャパンカップ。
http://www.jsaf.or.jp/sailing/japan-cup/2008/notice.pdf
↑この『レース公示』によれば、

IRC部門:
有効なIRC レーティング(エンドースド)証書を所有していること。
IRC Rules 2008 に適合していること。
8月15日以降のTCC の変更は、レーティングプロテストあるいはレーティングオフィスのエラー訂正以外は許可されない。

とあるだけで、大きさには記載がありません。

で、エントリーを受け付けたところ、80ft艇やら30ft艇やら出てきちゃって、「さあどおしよう」となっても後の祭り。
ジャパンカップに勝つために、わざわざ80ft艇をオーダーしちゃったかもしれないオーナーに対し、「50ft以上はエントリーを受け付けない事にしました」なんて話は通るわけがないわけで……。

ちなみに、昨年のジャパンカップでは、
レース公示で参加資格として「IMS GPH510.0 以上635.0 以下」と明記されていました。
http://www.kyc.or.jp/info/2007/japancup/notice_of_race.pdf
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by Takatsuki_K | 2008-05-26 22:40 | ヨットレースを考える
On The Windのブログによれば、<スレッド>はTP52でジャパンカップに参戦……とか。
http://prosailor.exblog.jp/

TP52といえば、今ヨーロッパで熱いボックスルールのグランプリクラスですね。
ボックスルールについては、また今度詳しく述べるとして、このニュー<スレッド>良く見りゃ長いバウスプリットが伸びてます。
ふむふむ、TP52からIRCに改造したって事ですね。

ボックスルールでグランプリというと、ヨットレースとしては理想的みたいに聞こえますが、船が古くなったら勝ち目はないという過酷な世界です。1億円以上するボートが、2年も経てば二束三文って事ではあまりにももったいない。
そこで、こうしてIRC用に改造して、そのぶっ飛びスピードを楽しもうという事なんでしょう。
さすがに、お目が高い。
元々造りはいいはずですから、いい買い物って事なんでしょう。

そもそも、オリジナルのTP52は長いスピンポールを使って巨大なゼネカーを展開するので、ジャイビングは結構ヤヤコシイんですよ。長いスピンポールを一旦バックさせてヘッドステイを交わさなくてはならないから。
バウスプリットにすればその点便利なんでしょうね。
あの長い角を出しっぱなしでは、マリーナ内とかで取り回しが大変そうだけど。

さて、問題はですね、これでジャパンカップ出ちゃっていいのか? って事です。
いや、レース公示にはサイズの事は何も書いていないようなので、<スレッド>チームに何の非も無いのですが。

TP52というボートは、とにかく速いです。へたなマキシ並です。
今、関東では、クラブスワン42の<エスメラルダ>がファーストホームって展開ですが、これは完全なるクルージング艇ですからね。完全なるレーシングで52ft艇ってのがどんだけ速いか、お察しいただけると思います。

参加資格には下限も書いてないようなので、IRC証書を持っているなら30ftのIRC艇が出てきても良いわけですよね。
となると、ジャパンカップとして、レースは果たして成立するのか?

コース変更はどうするのか?
トップ艇のフィニッシュ後、次のレースのスタートまで何時間待てばいいのか?

……等々、日本一を決める大会がこれでいいのか? って話です。

論点2-2の問題は、非常に大きいのです。
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by Takatsuki_K | 2008-05-25 22:08 | ヨットレースを考える
ワンデザインクラスは隻数が揃わないとレースが成立しません。

といっても5隻も集まればそこそこ面白いレースは出来ます。かつて我が国でもプラトーカップがありましたが、なかなか面白かったです。

ヨットレースはヨットという大きな物体を運ばないとレースに参加できないのが難点ですね。
かつてはハワイという絶海の孤島にまでヨットを運んでレースに出ていた訳ですから、その熱意たるやすごいものでした。それだけの価値があったという事なんでしょうね。

ただし、ヨットは自分で走っていけるからまだましかも知れません。
棒高跳びの選手なんか遠征時には当然「マイ棒」を持参するんだろうけど、どうやって電車に乗るのだろう? 分解できるのか? あの棒。

アメリカでのレースは1月のキーウエストから始まって、マイアミ、アナポリス、ニューポート、シカゴと季節毎に転戦していきます。
キーウエストの1月は、Tシャツ短パンの世界です。良い季節、良い風を求めてヨットレースが行われます。
となると、当然ながらヨットを運ばなければならないわけです。

Farr40等の大型艇は、キールを外してマストを倒して大型トレーラーに積んで、と、その作業を行うにもそれなりの施設がなければならないので、そりゃもう大変です。

Mumm30あたりになると、そのままトレーラーに積んで自家用車で引っ張っていけます。チェリーピッカーと呼ばれる、日本で電線工事の時に使う、カゴに人が乗って高所作業する自走式のクレーン……じゃないなぁ、なんと言うんだろ。あれ。あれをレンタルしてきて共同で使いマストを倒します。
そのアイデアが出るまでは、J24同様にジンポールを使って人力でマストの起倒を行っていたのですが、さすがにしんどかったです。
倒したマストはスプレッダーやリギンはつけたままでデッキの上に縛り付ければいいので作業は楽。適当な空き地があれば事足り、一人でも1~2日あれば旅支度は完了です。

とはいえ、自家用車で引っ張るとなると、Mumm30でも結構キツイです。小山のように大きなアメ車で引っ張って、マイアミからキーウエストまでドライブしたことがありますが、単に道が広ければできるってもんでもないですね。

となるとそれより大きな1D35なんかは、自家用車で引っ張る限界点だったのかもしれません。
このところ1D35の艇数が減ってしまっているのはそのあたりが原因なのではなかろうかと思います。レース自体はMelges32サイズで十分。だったら移動しやすい方がいいという事で。

移動という事を考えれば、Melges24なんかスイスイですね。こちらはスロープがあれば全部人力でOKですからさらに楽。だから艇数も多い。

Farr40となると、専任のボートキャプテンが付きますが、こちらは名うてのビックボートオーナー達が覇を競うクラスなので、このあたりの経費も含めての活動資金は潤沢です。トップクラスのチームは年間100万ドルかけているそうですから。
オーナーにとっては、それほどエキサイティングな世界という事ですね。
業者にとっても美味しい職場が形成されています。

じゃあ日本ではどうか。

僕はMumm30に乗っていましたが、速くて乗りやすいいいボートだと思います。
たぶんアメリカ人は「小さい」と感じていると思いますが、日本人にはピッタリのサイズだと思います。コクピットが広いので、クルーザーレーサーでいえば、35ft~40ftクラスの動きやすさです。

でも。日本のMumm30は、ワンデザインになれませんでした。

日本でワンデザインとして流行らなかったのは以下の2点。
○船価が高い
○回航しにくい
が、理由だと思います。

船価が高かったのは、大手が輸入していたため流通コストがかさんだせいでしょう。
良いボートなのですが、元々は船価を押さえたインショアレーサーなので、造りはかなり安っぽく、デッキなんか5年も経つとボコボコしてきます。
「船価が安いこと」はアメリカでFarr40やこのMumm30をワンデザインとして成功させた立役者の一人、バレー・キャロルが指摘していたワンデザイン艇の条件です。

とはいえ、デッキがボコボコしちゃうんじゃ困る訳ですが、アメリカではこうなると造船所に持ち込んでデッキを張り替えて貰います。
デッキの張り替えなんて大工事のように思いますが、型があるわけだからなんてことない作業のようです。メーカーに運び込むのも、先に書いたように自分で引っ張っていけるわけですし。

こうして手を入れながら使っていけば、長く乗れてとても良い船なのです。

さて、問題点その2。
Mumm30は、30ftの艇体にヤンマー1GM搭載ですから、機走能力はかなり低いです。フリーボードも低く、ちょっと吹かれればビショビショになっちゃいますから回航は苦手。そもそもインショアレーサーなわけですし、陸送が簡単なわけですから、回航なんて考えていないのです。

となると、このクラスのボートを陸送できない日本では、遠征が非常にキビシイものになります。
かつては、東京湾から相模湾に遠征に来ていたチームがありましたが、大変だろうなぁと常々思っていました。
関西で全日本をやります、なんて言われても、ちょっと回航していく気にはなれないなぁ。

日本では、J24が唯一のワンデザインキールボートになっていると言ってもいい状況ですが、J24クラスなら日本でも陸送が比較的容易なので、上記2つの「Mumm30が日本でワンデザインになれなかった理由」を克服しているからだろうと、思います。

と、日本では、ワンデザインクラスを成立させるのが難しい状況があります。
それでも、冒頭に書いたように、5隻もあつまれば結構楽しいレースが出来ます。
ハンディキャップレースとは次元の違うワンデザインレースです。

ワンデザインクラスを育てる為には、本来のワンデザイン艇が、ハンディキャップでもレースを楽しめる場が必要だと思うのです。
その為には、ワンデザイン艇をスポイルしないハンディキャップシステムが必要だと思うわけです。
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by Takatsuki_K | 2008-05-20 12:05 | ヨットレースを考える
現在、アメリカでのグランプリは、ワンデザインクラスによって行われていると言ってもいいかと思います。

その頂点に立つのがFarr40。

30ftクラスはMumm30からMelges32にシフトしつつあるようです。
このサイズでは、よりアマチュア色の強いJ105も勢いは衰えず。

その下のMelges24は相変わらず盛況です。「その下」というのは船のサイズ的に下という意味で、レベルは相当高いです。

34~35ftクラスでは1D35があったのですが、どうも最近勢いが無いようです。
何故か? は論点6で解析してみたいと思います。

そもそも、今隆興しているワンデザインクラスは、オーナーヘルムに限定した事が功を奏していると思われます。
それ以前のサイズの大きなワンデザインクラス(OD48、Mumm36など)は出ては消えの繰り返しでした。

そもそもレースヨットのオーナーというのは他人より速い船が欲しいと思うものです。しかし、ワンデザインだとどれも皆同じです。
船がみな同じだからこそ、セイラーにとっては競技性が増して面白いわけですが、オーナーからしてみれば「ヨットを持つ」というモチベーションを維持しにくいようです。

どの艇も皆同じだと、オーナーというよりスポンサーのようになってしまい、実際、後期にはプロレーサーが自らチームを作りスポンサーを募って参戦するというケースもあったわけです。
レースが競技性を増すと当然ながらレース中の艇上はシビアになって来ますから、オーナーが担当するポジションが無くなってしまうなんて事もあり得るわけです。最後には邪魔者扱いとなってしまい、へたするとオーナーはマリーナで待っているなんて事にもなるわけです。

これでは、タニマチ気質の方ならともかく、ヨットレースを楽しみたいというオーナーの気持ちは満たされません。
ならば、「ヨットを持つ」という喜びではなく、「ヨットを操る」という楽しみを味わうべし、という事でオーナーが舵を持たなければならないオーナーヘルムという制度を導入した訳です。

この試みが、少なくとも米国では大当たりし、今、勢いがあるワンデザインクラスはみなオーナーヘルムルールになっているという訳です。

Melges24等の小型艇は船価が安いので、こういう縛り無しでも十分にタマ数が揃い盛んなクラス運営ができているようですが。

さらに、同じオーナーヘルムでも、乗り組むクルーにプロセーラーを何人まで乗せて良いかというルール設けることによって、チーム全体のアマチュア度が決まってきます。

Farr40   Group2or3 x 4人まで可
Mumm30 Group3 x 2人 and Group2 x 1人まで可
J105    全員Group1

(Group3=プロ Group1=アマチュア 2はその中間)

と、この辺りの数字を調整することで、クラスの雰囲気はぐっと変わってくるわけです。
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by Takatsuki_K | 2008-05-19 08:23 | ヨットレースを考える
論点1でIMSには得な艇種が存在する、と書きましたが、その流れを汲むORC-Cも同様の傾向があります。

簡易ハンディキャップシステムとしては、数が揃わないワンデザインクラス艇も一緒に楽しめるシステムであるべきです。
となると、ここでの問題は得な艇種が存在するというより不利な艇種が存在すると言い換えた方がいいかもしれません。

今、アメリカで人気があるワンデザインクラスの艇種は、おしなべてORC-Cでは不利となっていたように思います。

逆に、ファースト40.7はIMS(ORC-Cも含む)で有利であったために、数は増えました。
日本ではワンデザインでの選手権レースが行われたほどです。

その後、日本のファースト40.7はワンデザインとして尻つぼみとなってしまった訳ですが、その原因は、レベルレースをやってしまったからだと思います。

日本での40.7のワンデザインルールは、IMSのGPHに上限を設け、その中で着順勝負をするというものでした。これはレベルレースという事です。
論点3で述べたように、IMSでのレベルレースは成立していません。ILC40はレース自体はタイトで面白いものでしたが、世界のトップクラスのオーナーでもそのシステム(毎年VPPが変更されそれに合わせて自艇を改造しなければ勝てない)には付いていけなかったのです。

ファースト40.7は艇毎に重量などのバラツキが大きいのですが、もともとワンデザインレース艇として建造されたものではないのですから、これはメーカーの責任という訳でもありません。
そういう艇種なのです。
それを、一定のGPHに納めよ、というのはかなりキビシイ要求です。

ここは、着順勝負ではなくハンディキャップで時間修正して競えばよかったのです。
バラツキがあるといっても、40.7同士ですから、論点2-2 絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないは、ほどんど解消されます。

クラスが活発になれば、やたらに改造する人も出てくるでしょうから、「何をもって40.7とするか」という事を明文化しておく必要はあるでしょうが。
その上で、オーナーヘルムに限定するとか工夫をしていけば、今でも40.7クラスはワンデザインとして続いていたのではないかと思います。

ハンディキャップシステムは、ワンデザインのクラス発展にも寄与するべきで、その為には、ワンデザイン艇種にも公平感のある数値が与えられる必要があると思います。
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by Takatsuki_K | 2008-05-17 10:29 | ヨットレースを考える
とりあえずの結論です。

艇のサイズが揃わず、論点2-2絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないという問題が大きく残る限り、論点2-1正確な性能差を表すのが難しいはさほど大きな問題でも無いのかもしれません。

正確な性能差を目指すIMSでも、論点1に挙げたように完璧からはほど遠く、その割りには計測に時間も手間もお金もかかるので、人気が無くなっていると言えます。

論点2-2絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないという問題が改善されない限り、ハンディキャップ値自体はそんなに正確で無くてもいいんです。

で、今の日本の現状は、IMS(今年からORC-Iになった)、ORC-C、IRCの3本立てとなっており、フリートが無意味に3つに分かれてしまっています。
ただでさえ参加艇数が少ないのに、これをまた無意味に3つに分けてしまうと、その中で絶対スピード毎に細かくクラス分けするのはさらに難しくなります。
論点2-2絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないという問題は解消されるどころがより大きくなってしまうのです。

今は論点2-2絶対スピードが大きく異なる艇間では、公平な評価ができないという問題を少しでも解消する努力をするべきだと思うのです。
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by Takatsuki_K | 2008-05-16 12:13 | ヨットレースを考える