ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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それでは、「沿海」→「近海」への変更には何と何が必要なのか?
これがなかなか簡単には書けないのです。実際にやってみないと分からない。

たとえば、何年か前に「限定沿海」→「沿海」へ書き換えたことがあります。そのときのお話を。

42ftのレースボートですが、同じ年にパールレースとジャパンカップの遠征が入ると、「臨時航行許可証」の年間30日ルールではギリギリ。30日ルールについてはこちら

JSAFの特別規定(SR)でカテゴリー3はとっているので、火薬類はすでに沿海セットを積んでいます。後は「自己点火灯」と「馬蹄形ブイ」があればいいのかな? だったら「沿海」とってしまえば、いちいち「臨時航行許可証」とらなくていいし。

と思って、まずはJCIに電話で確認。すると図面を持ってくるように言われたので後日JCIに出向いて対面して説明を聞きました。
こういうのは、電話じゃらちが空きませんからね。会って、その場でしっかりメモをとり、「これで間違いありませんね?」と念を押し、帰宅。

それじゃゴー、ということで、「馬蹄形ブイ」と「自己点火灯」を購入。
臨時検査といっても、ヨットの上での立ち会い検査は無く、買い足した法定備品をJCIの窓口に持ってくればOKとのこと。

検査手数料は別に金融機関に振り込むようになっているので、まずはこれを振り込み、追加分の法定備品を持ってJCIへ。

すると、先日打ち合わせをした検査官が、
「こないだは言い忘れたけど、4種汽笛が必要だ」
と言い出す。
限定沿海では、同じ汽笛でも5種汽笛。これを4種に買い換えないとダメだという。
たいして違わないじゃん。5種汽笛でどーにかしてくださいよ、と泣き落としに入るがガンとしてダメ。
「今なら12V仕様も出てますよ」とカタログを出してくる。
4種汽笛って、ちょっと前までは24V仕様しか無かったのです。
え? 12Vのヨットはどうしていたかって? それはまた別のお話として……。

泣き落としは効かないようなので、もう「限定沿海」のままでいいやモードに突入。
「そもそも、馬蹄形ブイと自己点火灯だけでいいというから、沿海に切り替えることにしたのに。
わざわざ今から4種汽笛を買わなければならないなら、限定沿海のままで良い。
振り込んできた検査手数料返してくれ。」
というと、
「それはできない決まりだ」という。

「えー、なんだよ、それ、詐欺だろ。詐欺。オマエが馬蹄形ブイと自己点火灯だけでいいって言ったんだろ。ちゃんとメモもとってんだぞ。」
とさらに激怒モードに入ったところで、近くにいた受付係の女子がすくっと立ち上がり、「返金できますよ」ときわめて冷静に一言。

この女子が、かなりカワイイのであります。清純派というより、倖田來未系と表現したらいいのか? いや、良くないか? とにかく、事務処理能力が高い。
ささーっと、現金で返金してくれて終了。


てな具合に、航行区域を書き換えるだけでも、かなり複雑なのです。ここで簡単に変更条件を書けるものでもないのです。
上のケースでも、なんか図面をしげしげと見てOK出してましたけど、何がどうだとダメなんだかは不明。
そもそも、昔のワンオフ艇ならいざしらず、今時のプロダクション艇のオーナーは自艇の図面なんて持っているのかなぁ? 無ければ無いで、現場での立ち会い検査になるのでしょうが……。

とにかく、制度が複雑なのです。
JCIのホームページには、法定備品の一覧表が載ってますが、これも記述が極めて分かりにくい。そもそも検査官でもよく分かってなかったわけだから。

全長12メートルと長さ12メートルを境にして、適用が異なるものも多く、ここでいう「全長」と「長さ」は違う単位ですからね。
全長12メーター以上、で、長さ12メーター未満
の船は結構ありますのでご注意を。

そもそも、「自己点火灯」を搭載せよ、というのは分かるんですよ。あった方がいいと思う。まあ、法定備品として認められている「自己点火灯」は、むやみに大きくて安っぽく、世界にはもっとよさげな商品があるのに、我が国では規制のおかげで安全備品の進化が止まっているようにも見えますが。

で、4種汽笛なんて、いるの? 5種汽笛を外して、新たに搭載する意味あるの?
ちなみに6万円くらいのものなんですけどね。
ケチケチすんなとか言われるかもしれないけど、そういう問題じゃないと思うのであります。
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by Takatsuki_K | 2010-01-26 12:28 | ヨットレースを考える

臨時変更証は便利?

JCI(小型船舶検査機構)の航行区域で「沿海」といえば、陸岸からほぼ20マイルの海域をいう。これで日本の沿岸はぐるっとカバーしているわけだが、ヨットで走る場合はどうか?
f0171353_14134153.jpg

上図の黒い点線で囲まれた部分が「沿海」の範囲。

「沿海」は岸沿いにずっと続いているので、「沖縄までなら、沿海で行けますよ」というのがJCIの見解のようだが、岸沿いを走るにしても赤線のようになり、「沿海」から出てしまう。

海の上に線が引いてあるわけでも無し、「1時間程度」はみ出るくらいなら多めに見て貰えるような口ぶりではあるけれど、それでも収まらない。

JCIでいうところの「沿海」という航行区域は、ヨットでの沿海航海というものを念頭において設定されていないように見受けられる。
クルージングのみならず、ちょっとした外洋レースを開催しようと思ったらすぐにはみ出てしまうのだ。

となると、その上は「近海」。「近海」で船検をとればいいだけの話だが、「沿海」→「近海」に変更するのはかなり大変だ。
どう大変か、は、また別にまとめてみるとして。
実際には、「臨時変更証」をとれば、簡単に「近海」にできることがわかった。
前回記事こちら

これまでは、「臨時航行許可証」をとっていたと思うのだが、「臨時航行許可証」とは本来、船検をとってない船舶が臨時に航行できるようにするためのもので、臨時に航行範囲を変更する場合は「臨時変更証」をとりなさい、ということ。
どうもこのあたりの運用が曖昧になっていたようで、現場でも混乱があったもよう。

「臨時変更証」ならば、ライフラフトをレンタルして、衛星携帯電話を用意すれば「沿海」→「近海」への臨時変更可。
衛星携帯電話もレンタルがある。あるいは、アマチュア無線でもokだそうな。要するに24時間連絡がとれる体制にあれば、高価でレンタル物のないイーパブは必要ない。
臨時の航行区域変更なんだから、レンタルで済ませられないのでは、間尺に合わないし。

なあんだ簡単。
これにて一件落着。

みたいだけど、問題は「臨時変更証」は1年間に30日しか降りないということ。
沖縄-東海レースに出るだけでも、回航まで入れるとそれだけで30日使っちゃう。
秋には八丈島レースを、なんていっても、その年はもう無理ということで。
乱暴にいえば、外洋レースは年に30日以内しか行えないということになる。

さらに、年間30日といっても、隔月で5日づつ……というのはダメらしい。
あくまでも「臨時」に許可するものなので。
ま、このあたり、実際どのように運用されているかはまた別の話として。
そもそも、本来「近海」を航海するのに必要な法定備品が、年間30日以内の航海なら必要ないというのもなんだか解せない話で。「臨時変更証」という制度のおかげで、かえって外洋航海が限定されたものになっているような気もするし、安全に対してのユーザーサイドの取り組みがなおざりになってしまうのではないかとも思う。

今回の沖縄-東海レースでは主催者側でこのあたりを補完し、火薬類やイーパブの搭載を義務づけている。
これ、決めるの大変だっただろうなぁと思う。

世界のヨットレース界にはISAFの特別規定(SR:Special Regulations)というものがあって、これがまた極めて子細にできている。
JSAFでもこれをベースにして日本の事情に特化させた「JSAF-SR」を規定している。

ちょいとこのSRと対比させて、日本の船検制度について改めてじっくり考えてみたい。
(つづく)

追記:掲載した図の沿海区域、だいぶ間違えてます。書き直して近々アップします(2010/2/7)

沿海区域の図、書き直しました。こちら。(20102/9)
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by Takatsuki_K | 2010-01-19 14:16 | ヨットレースを考える

臨時変更証とは?

前回の続きです。
土曜日から熱を出して寝込んでおりました。まだ頭がぼーっとしておりますが、小型船舶検査機構に電話してみました。

前回書いた(2)臨時航行許可証というのは、基本的には船検が切れてしまった船やこれから船検を取得する船が検査のためなどで回航する時に使うもので、(3)の臨時変更証というのは、船検証を有しているけれども一時的に航行区域を変えるなどの用に用いる。
とのこと。

このあたり、運用の方もこれまで曖昧になっていたと係の方はおっしゃっていました。
今回の沖縄-東海レースではまさしく(2)臨時航行許可証ではなく、(3)臨時変更証でいいことになりますね。


必要備品は、
本来の沿海→近海なら、沿海からの追加として、、
・ライフラフト(近海装備) 約90万円
・火薬類 (紅炎、火せん、浮信号)約4万円
・イーパブ 約25万円
・持ち運び式双方向無線電話装置 約38万円
・無線電話(イリジウムでも可)
・消火器 約1.2万円

レーダートランスポンダなんてもリストにありますが、これはレーダーリフレクターがあれば可

無線機入れないで約160万円ですか。

これが、
「臨時変更証」の場合。
・ライフラフト
・イーパブ
・レーダートランスポンダ
のみでOK。

ですが、
そもそもレーダートランスポンダはレーダーリフレクタがあれば不要ですし。
イーパブも、24時間通話可能な通信設備があれば必要ないとのこと。

ということは、ライフラフトだけ。これはレンタルで、週1.5万円程度だそうですから、ほとんどお金はかかりませんね。
これで、船検的には夜間の航海も可。

で、
別に、レースの実施要項の方で、
・火薬類(近海セット+パラシュートフレア)
・ライフラフト(近海仕様)
・衛星携帯電話(イリジウム推奨)
・国際VHF
・イーパブ
が必要となっているので、こちらを満たせば船検もクリアということですね。

なあんだ簡単。
レース主催者側も、よく考えていると思いました。

今回はJCI横浜支部へ電話してみましたが、対応はきわめて丁寧で分かりやすかったです。

但し、支部や対応する人によって違うことを言い出すかもしれないので、後は各自であたってみてください。
限定沿海からの変更はまた別でしょうし。
ワタシゃこれまで、JCIとは何度揉めたことか。何でそんなに揉めてたかは、別の機会に。

今回、上記の問い合わせ、国際電話で長々と話しましたが、電話代1.18リンギ(約32円)って安いなぁ。
これが一番驚いた。
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by Takatsuki_K | 2010-01-12 14:13 | ヨットレースを考える
今年は久々復活の沖縄レース。
フィニッシュは東海なので、正確には沖縄-東海レースなわけですが。


さて、沖縄に行く、あるいは沖縄から東海まで走るには、船検はどうすればいいのか?

小型船舶検査機構(JCI)の船舶検査では航行区域が決まっているのは、みなさんすでにご承知の通り。
通常の外洋レースヨットの場合、
・限定沿海
・沿海
・近海
・遠洋
という区分けになってます。

相模湾内のレースに出るだけなら限定沿海で十分。
でも、パールレースに出たり、ジャパンカップで東海や西宮に遠征するなんてことになると、どうにかしなくちゃならんわけで。

そもそも「沿海」とは距岸20海里。下図の点線がそれ。
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この中で母港を中心とした海域に限定したのが「限定沿海」で、ここから「限定」を取って「沿海」にすれば、点線内はどこまでも行けることになります。
この図だと、トカラ列島と奄美大島の間に隙間がありますが、ここは何年か前に解消されているようです。

ということで、「沿海」仕様の船検を取れば、岸ベッタリに寄せて、相模湾からでも、東海からでも、あるいは網走からでも新潟からでも、、沖縄まで行けます。

しかし、実際にはどうか?

上の図を見ると、下田から潮岬まで直線でコース引いたら沿海海域から出てしまう。(図の赤線)
潮岬から室戸岬なんて、モロ。
普通、ヨットならこういうところ、いちいち岸に寄せたりせんですな。

そもそも、パールレース(南勢~江ノ島:青線)でも実は沿海ギリギリ。沖出しコースは禁止ですよ、みなさん。
……と、ちょっとした外洋レースを企画すると、「沿海」では足りないわけ。
となると、「沿海」の上は「近海」。

「近海」なら、東は日付変更線の手前。南は赤道を越えてニューギニアのあたりまで。西もマラッカ海峡まで含むほど、一気に航行区域は広がります。

ちなみに、上図の黒い実線で囲まれた海域を「限定近海」というようですが、これは外洋レースでは中途半端で、沖縄-東海でも沖出ししたらはみ出てしまう。


ということで、外洋レースに出るなら航行区域を「近海」にして船検とればいいということになります。

当然ながら、「沿海」→「近海」にするには様々な法定備品を追加しなければならず。ちょいと調べたところでは、ライフラフトをレンタルで済ませても、100万円くらいかかるとのこと。

何がいくらで……という細かい部分には、おいおい触れるとして、
具体的な手続きには、以下の3通りの方法があるようです。

**(1)********
船検の航行区域を「沿海」から「近海」に変更する。
これが正攻法。

定期検査や中間検査の時にこの切り替えを行ってもいいようですが、それ以外の時に受けるなら、「臨時検査」になります。

問題は、レースが終わった後も「近海」のままだと、近海用の法定備品をずっと搭載していなければならないこと。まあ、あたりまえですが。
たとえば、ライフラフト。
「近海」だと、定員分のライフラフトを搭載する必要があるのですが、「沿海」なら、ライフラフトの代わりに浮器で代用できます。
膨張式の浮器なら6人用で1個が2kg。これが2つあればok。ライフラフトだと、6人乗りで1個が40kg。これが2つ。おまけにかさばるし。

ということで、「沿海」のレース艇ならみな、ライフラフトの代わりに浮器で代用しているわけですが、船検が「近海」のままだと、インショアのブイ周りレースでもずっとライフラフトを搭載して走らなければならないことになるわけ。邪魔。

ラフトを降ろすには、レースが終わった後で今度は「近海」→「沿海」に書換えるべく再び臨時検査を受けなければならないわけ。
これもまた、じゃまくさい。


**(2)*********
「臨時航行検査」を受けて「臨時航行許可証」を交付してもらう。

上述(1)の「臨時検査」と字面が似てるのでヤヤコシイですが、こちらは「臨時航行検査」。
よく言う「臨航(りんこう)」というのはこれ。

限定沿海のヨットを回航するときなんかは良くこれで行きますね。そのために一々船検取り直すのもバカバカしいので。期間は最大30日間まで。

ただし、今回の沖縄-東海レースでは「臨時航行許可証」は認められないようです。


**(3)*******
(1)と(2)以外に、「臨時変更証」というのがあるようです。またまた、ヤヤコシイ。

(1)と同じ臨時検査を受けるのですが、船検証の航行区域を書き換える代わりに「臨時変更証」を交付してもらうということのようです。
そもそも(2)の「臨時航行検査」というのは、船検証の無い船が検査を受けるために移動するなど、本当に止むを得ない場合に交付されるもので、ヨットレースに出るとかクルージングをするといった場合は「臨時変更証」をとれ、ということなんでしょうか。

沖縄-東海レースの実施要項では、(2)ではダメで、(1)か、この最後の(3)「臨時変更証」が必要、となっています。

(3)「臨時変更証」の交付にあたっての条件は、(1)や(2)とは異なるのでしょうか?
なんかもう気になってきたんで、JCIに電話して聞いてみます。
              (この項続く)

注:上の図。沿海区域の点線が正しくないので書き直しました。こちら。
話のつじつまが合わなくなるので、このぺーじはそのままにしておきます。(2010/2/9)
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by Takatsuki_K | 2010-01-04 07:54 | ヨットレースを考える