ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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シーマンシップ

KAZI誌10月号読みました。
今頃? と思われるかもしれませんが、家に届くまで時間がかかるんです。で、ちょっと話題に乗り遅れるのであります。

10月号は「特集:シーマンシップの真実」
こんな大きなタイトルの冒頭コラムを任されたワタシ。

特集の中で、福永昭氏が舵軸が折れたときの対処について語っていらしゃいますが、これだけでも大変面白いテーマで、その部分だけを膨らませて様々な対処方法とその経験談を書き込んでいけば2頁はいけるだろうし。ロープワークは数々あれどどこまで知っていればいいのか? やっぱスプライスとかもできるようになるべき? みたいな、具体的な記事が後に続くんだと思って冒頭のコラムでは「シーマンシップ」という言葉の意味するところは何なのだろうか? という前フリのつもりで書いちゃったんです。
ちょっと的を外してましたね。すいません。

まあ、大きなテーマです。

その中で、「レース派はシーマンシップに欠けている」と思われているらしい、というのも初めて知りました。
そうか、そうだったんだぁ。
結構広域なシーマンシップがないと、レース艇のクルーは務まらないと思うんですけど。そうは思われていないもよう。頑張ろう、レース艇のクルー諸君。オレも。

   ※    ※    ※

だいぶ前の事になりますが、知り合いのヨット業者から連絡があり、
「ある人の息子がシングルハンドで太平洋横断をする。親も本人もヨット経験はほとんど無いので、出航までの間コーチをし最終的に一人で太平洋横断が可能かどうか判断してやって欲しい」という依頼がありました。

これなんかも、まさに「シーマンシップ」ですよね。この子に太平洋単独横断に足るだけのシーマンシップがあるのか否か。そんな重大なこと、ワタシに判断できるわけない。恐れ多いですよ。
そこで、
「太平洋横断が可能かどうか、自分自身で判断できないということ自体、太平洋横断の資格が無いということなのでは?」
として、お断りしたんだけど、
「そこをなんとか。とりあえず、一度会って話だけでも聞いてくれないか」
ということで、一度だけならと行くことにしたわけ。日当くれるというし。

ご両親が出てきて、「息子をよろしく」とか言われるのかと思ったら本人一人。借り物である30ft艇ですでに寝泊まりしているらしい。
狭いヨットの中で、子どもと二人。向こうから何か質問してくるわけでもなく、こちらから何を話して良いのかもよくわからず。

キャビンの中には食べかけのリンゴが転がっていたりと、やけにちらかっていたので、まずは掃除をすることに。
「掃除の仕方が分からない」というので、搭載している荷物を全部桟橋に出し床板も全部剥がしてヨットを丸裸にし、ビルジを汲んで雑巾がけをする。

この特集記事のなかでも、白石康次郎氏が「掃除の徹底はシーマンシップの基礎」といっているけど、まさにそれ。荷物を全部降ろして床板を剥がすことで、普段目に付かないところにまで目が届くというわけ。どこにシーコックがあってどういう風に配管されているのかとか、ありゃこんなところにひび割れが、とか、いろんな発見があるはず。

……と、そんなことしていたら1日は終わってしまった。
結局やったのは掃除だけというのが気に入らなかったのか、
「もう来なくていい」
と連絡があってお役ご免。つか、最初から続けるつもりは無かったんですけど。

シーマンシップの奥は深いですね。
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by Takatsuki_K | 2010-09-28 12:03 | 個人的な話

海図セミナー

今年も、関西フローティングボートショー2010において、「海図の見方講習会」を行います。
10月2日(土) 1400~1600 新西宮ヨットハーバー 陸上特設テントにて

海上保安庁が刊行する海図などの水路図誌の複製、頒布を行っている(財)日本水路協会が主催するイベントです。参加無料。ご来場をお待ちしています。

世の中GPS全盛時代。GPSプロッターに映し出される海岸線もかなり情報量がアップしていますが、それでもやっぱり紙海図にはかなわないものが多いはず。
プレジャーボートのみなさん、もっと紙海図を使いましょう。
……という紙海図の販売促進なんですけどね。

紙海図の場合、家に持って帰れるというのもメリットの一つ。
自宅でじっくり海図を見て航海計画を練るというのは楽しいものです。
そしてそれが、安全にも繋がるし。

地図好きのワタシです。


それにしても、海図を作って常に最新の状態に保つというのは大変な作業でしょうね。
あのキャプテンクックにしても「海図を作る」というのがその任務の根底にあり、帆船時代に未知の海で新たな陸地を探しては海図を作るって、そりゃもう大変そう。
昔は、海図を作るのは海軍の重要な任務だったようですが、戦後は運輸省に移管され、海上保安庁水路局から水路部そして平成14年からは海上保安庁海洋情報部という部署で刊行しています。

しかしまぁ、海上保安庁っていうのは大変ですよね。前に対馬の近海で、密漁韓国漁船取り締まりのドキュメントやってましたけど、全速で逃げ回る韓国漁船を追い、相手船の船尾に船首をのし上げるようにして接舷し、ヘルメット姿の保安官がエイヤっと飛び移り乗組員を逮捕。
結構な波の中、全速走行の2隻なわけで、あれ、一歩間違ったら死ぬでしょ。
彼らの過酷で命がけの任務があってこそ、日本の海は守られる。頭が下がるなぁ。
ただ、なんか姿が電線工事のオッサンみたいなんで、もっと機能的でカッコイイ最新の装備を身につけさせてあげたいなぁ、と節に思いましたが。

でもって、尖閣。海上保安庁の皆様。ご苦労様です。

もうね、我々プレジャーボートの遭難ごときで、いちいち彼らの手を煩わせては申し訳なく、「またまた、人騒がせなプレジャーボート」なんてニュースになっても困る。
かといって、海の上のトラブルは、
「自分でどうにか対処できる」
というレベルから、
「いよいよダメ」
なレベルに変化するタイミングは唐突で、そのときにはすでに連絡手段さえなくなっているやもしれず。判断が難しい。
「救助要請は、どのタイミングでしたらいいのでしょう?」
と舵社によくみえる保安庁OBの顧問の方に、質問したことがあります。
すると、
「少しでも危険を感じたら、躊躇無く海上保安庁に連絡するように。たいしたことないのにいちいち救助要請するな、などという海上保安官は一人もいません」
と、キッパリとしたお答えでした。なんかジーンとしました。
ありがたいことです。
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by Takatsuki_K | 2010-09-21 17:19 | 個人的な話
シドニー・ホバートレースを終えて、南太平洋をハワイに向けて移動中のワタシ。
ニュージーランドを出て9日でクック諸島はラロトンガ島へ。そこから4日でいよいよフレンチポリネシアの楽園、ボラボラ島へ到着。
1982年3月27日。26歳の頃のお話であります。

今はどうだか知りませんが、当時のボラボラ島にはマリーナは無く、かなり広い入り江にアンカー打って振れ回しになります。
沖合には広く環礁が防波堤のように広がっており、うねりは入らず居心地はいいのですが、毎日のように強いスコールはあり。
スコールはたいてい強い風も伴うわけ。
で、近所に錨泊していた50ft位のカナダ艇が走錨し、あれよあれよという間に我々のアンカーラインに絡まった。
まったくもー。

こちらは54ftのアルミ製レースボートでありまして、クルージング艇のようなウインドラスはなし。45kgの巨大なダンフォースアンカーを人力で揚げるわけ。迷惑ったらありゃしない。

が、先方の艇上には人影なし。
まあ、こちらは男ばかり6人乗りなので、総出でワセワセっと作業し治まったものの、あちらはどうなのか?
「また流されてきてもメンドクサイから、様子見て来いよ」
というスキッパーの指示で、ワタシと松尾さんはゴムボートに乗り込み、走錨カナダ艇の様子を見に。

台湾製でよくあるようなクラシックな形のケッチだったと思うけど。
デッキに上がると、オーナーがケロっとした顔で出てきた。
迷惑かけたのう……とかなんとか、一言ないものか。と思う前に、
「ようこそ。まずは諸君にクルーを紹介しよう」
と、大きなオウムを紹介されても、こちらは「……」。
ごま塩頭に、黒々として太い眉毛がスケベそうな中年の白人で……。
と、この辺り、日記には記載が無いので記憶を呼び戻して書いてますが、このオッサン、一人しかいないもよう。

松尾さんなんか、さっさとバウに行き、
「なんや、でっかいアンカーあるやん。これ打とう」
と、慣れた手つきで操作し始めるものの、オーナーは、
「余計な事はやめてもらおう。そんなの打ったら一人で揚げられない」
と大反対。
「つーか、そっちは良くても、走錨されるとこっちが迷惑なんですけど」
という意味合いの英語表現が出てこず。
「あー、あかんあかん。話にならん」
と退却したのでありました。

    ※     ※    ※

入り江に面した岸辺に小さな家が建っていて、そこがボラボラ・ヨットクラブのクラブハウスになっています。
そうそう、今回も「ヨットクラブを考える」お話なのです。
ヨットクラブといっても、こちらボラボラ・ヨットクラブには地元の会員艇はいないようで、クルージング途中の外来艇が立ち寄る施設でありまして、普段はスタッフすらいないことが多い。クラブハウス内にある大きな冷蔵庫に飲み物やチーズが入っており、飲み食いしたらカウンターにあるノートに自分で数量を記入し島を出るときに精算するというスタイル。

どんな建物だったか、これまた日記には記載がないし記憶も定かではないんだけれど、さほど立派な建物ではなかったような。
ボラボラという島自体、ヨットで海からアプローチすると「人が住んでいるのだろうか?」と思うくらい、人工的な建物の姿が目に入らない島で、近づくにつれそれが建物だとわかるくらい。
クラブハウスも、「小屋」といった方がいいようなもの、だったと思います。

建物の前には手作りとおぼしき小さな桟橋があって、各艇そこにテンダーで乗り付け、上がり込み、勝手に飲み食いするというわけ。

ヨットはみな沖に錨泊でありまして、それはそれは綺麗な海の上で、幸せな時間を過ごしているわけですが、まあ、飽きる。
クルージングしているのは男女のカップルが多いですが、ずーっと二人で顔つき合わせててもねぇ。
で、こういう集いの場が必要なわけ。

となると、奥様同士で集まって井戸端会議みたいになるわけですが、その日は、
「見たわよ、昼間。大変だったでしょ」
と声をかけられ、
「あの船スコールのたびに走錨してんのよ」
「ぐるっと回って、今日のスコールで元の場所に戻ったんじゃない」
「あら、そーね。明日から2周め突入?」
そーなのか、走錨カナダ船は、みんなの嫌われ者なのか。

と、ヨットクラブというのは、こういう会話を楽しむ場のようでして。

「各自で食べ物を持ち寄ってパーティー」なんてのもしてましたね。
自分が食べる量を作って持ち寄れば、何人来ようが量は丁度足りる計算で。
ワタシらは、カレーを持参したっけなぁ。オーナーがオーナーなんで、カレーは船に嫌というほどありまして。日本のカレーってのはこれまた評判いいんです。カレーはやっぱりヱスビーだな。うん。

日記を見ると、毎日ヨットクラブで過ごしてますね。そして気の合う艇を見つけてはそちらに移動。
ヨットクラブは出会いの場なのでした。
日記によれば、「ボラボラヨットクラブの会員になった」とあり、「会員になるときは、クラブの柱にキスさせられる」とも書いてある。
覚えてません。

     ※   ※   ※

ボラボラを出た後、我々はフアヒネ→モーレア→タヒチと移動。
タヒチに着くと例の走錨カナダ艇がパペーテの港に泊めてあり、「クルー募集」の大きな看板がかかっていた。やっぱ一人じゃ無理なんだなぁ。

で、この話にはさらにオチがあるんです。
ぐるっと回って日本に帰った後、たしか『オーシャンライフ』誌だったと思うけど、ポリネシアをヨットでクルージングしたという日本人女性の手記が載っていた。
ハワイで「クルー募集」の張り紙を見てウキウキ乗り込み南太平洋まで行ったはいいが、オーナーがとんでもないセクハラオヤジで、最後は強姦されそうになり、さすがに他のクルーが止めに入るや大げんかとなり、オーナー1人残して全員ヨットを降りた。
というような話で、これが、時期といい、写真に写っているヨットの形といい(まあ、似たようなヨットはいっぱいあるのですが)、これ、あの走錨カナダ艇ではあるまいか。


ボラボラ・ヨットクラブ、その後無くなったという噂を聞きました。
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by Takatsuki_K | 2010-09-14 09:23 | ヨットクラブを考える
ヨットクラブは数あれど、まずは、従業員がいるクラブといないクラブに大別できるかと。

従業員がいないクラブでは、事務手続きからレース運営まで、すべて会員自身がボランティアで行うことになります。
JSAF外洋支部なんかはこれですね。だから、問い合わせにしても「迷惑だから電話はしないでくれ」とか言われちゃうわけで。
こっちは金払ってるのになによ、まったくもう。……等とイライラするわけですが、ヨットクラブ専用の事務所があるわけでもなく、ボランティアで役員を務める人の仕事場や自宅にいちいち電話がかかってきたんじゃ、そりゃ迷惑というもの。

方や、従業員がいるヨットクラブなら、事務所もあるのが普通。たいていはクラブハウスの一角に事務所があり、ここに平日も従業員が詰めており、集金や発送業務も行っているわけ。

両者の違いは大きいですね。

で、今ワタシが所属するロイヤル・セランゴール・ヨットクラブには、広い事務所があり、専属の従業員が詰めています。女性が2~3人と事務局長のオッサンが1人。
週末ほど人がいっぱいくるわけで、かといって平日も休業日はないわけで、いったいいつ休んでいるのか?
と聞くと、
「休みは無い」
と、この事務局長はいつもジョークがキツくて、ホントのところはよくわかりません。当然交代で休んでいるんだとはおもいますが。


さらに、ヨットクラブで専用の泊地(マリーナ)を持っているか否かでも分けられそうです。
欧米でも、艇の係留とヨットクラブは別のところが多いと思いますが、たとえば、ニュージーランドにアメリカズカップがあった当時、ルイビトンカップの運営を行っていたバックランズビーチ・ヨットクラブは立派なマリーナが併設されていました。

もちろん、その泊地を利用していない人でも、会員になることは可能ですが、ヨットクラブにとって係留料は大きな収益になると思われます。

RSYCでは泊地も自前で経営しています。まあ、泊地といっても河口に面してクラブハウスがあるので、河のあちこちに長い浮き桟橋を浮かべてそこに係留するというスタイル。はっきりいってダサイですが、基本的にこのクラブの目的は係留した自艇でのんびり過ごすというものではなく、ヨットレースと釣り。ということで、泊地はどーでもいいみたい。
会員の中にはランカウイに艇を置いている人も多いようです。そういう人は、こちらではソーシャルイベントを楽しむという感じですか。
ちょっと離れたところに新しいマリーナができたので、近々そちらに引っ越す可能性もあるみたいですが。

で、スロープもあって、クラブハウスの裏手には上架保管もできます。プラトーなんかは、全艇上架して保管してあります。
これら係留や上下架に関わる費用もヨットクラブの収入になるようですが、となると当然ながらそこには人手も必要なので、ヨットクラブの常勤スタッフは40名もいるそうな。
そして、別経営になっているようですが、クラブハウスの飲食系には20名のスタッフがいるということで、全部で約60人。
こうして見ていくと、彼らは日本でいえばマリーナのスタッフということになるわけですが、RSYCではヨットクラブでマリーナを経営しているということになりますね。
でも、マリーナの社長というのはいない。
ヨットクラブのコモドアが最高責任者であり、その下に様々な委員会があってヨットクラブのメンバーがその委員に納まり意志決定をし、マリーナを経営しているいうことですかね。
マリーナ経営会社があって、その客である係留艇のオーナーが親睦のためにヨットクラブを造る、というのとは大きく異なるということですね。

マリーナを持っていないヨットクラブも、欧米ではだいたいそんな形式になっているんじゃないでしょうか。
つまり、ヨットクラブという商売をしている。
株式会社になっているヨットクラブも多いようです。
別の言い方をすれば、ヨットクラブの会員は株主で、株主総会で社長(コモドア)を決めて会社経営にあたってもらう。ヨットクラブの事務局長は、ヨットクラブに雇われ社長(コモドア)の命を帯びて業務を遂行する。
……といってもいいのかも。

従って、レース運営はすべてヨットクラブのスタッフが行います。どんなレースを行うかはヨットクラブの委員会で決定し、年間スケジュールを決める。決めた後は、委員会のメンバーもレースに出る側。……ということです。

財政状況については追ってレポートしたいと思いますが、係留費といっても27ft艇で月額2700円とかいってたから激安だし、会費収入だっておそらく月300万円程度だと思うのですが。マレーシアでは人件費が安く、おそらく地代無料なんじゃなかろうかと思います、ロイヤル・ヨットクラブだから。
で、こういうクラブ運営が可能なんだろうと思われます。
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by Takatsuki_K | 2010-09-07 17:30 | ヨットクラブを考える