ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
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日々淡々と大きな問題も無く過ぎていく。そんな生活は平和である。しかしそれがずっと続いたんでは面白くない。
困った事とか困難な事態が目の前に現れ、それを解決していくからこそその後には大きな喜びが待っている。そして生活は充実するってもんだ。


☆ 登場人物 ☆
 
・ジェラミー(60才?)マレーシア在住の英国人。
  オーナー/スキッパー

・スティーブ(57才)フィリピン在住オーストラリア人。
  マストマン

・エミイ(43才) マレー系マレー人
  バウ

・若エミイ(20才) マレー系マレー人
  メインシートトリマー ピット

・デビッド(50代中頃) ロンドン在住英国人
  ナビゲーター ヘッドセールトリマー

  その妻 クレア

・ワタシ (55才) マレーシア在住日本人
  ヘッドセールトリマー ピット

  その妻 エリ

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こちら、バウマンのエミイ。スピンバックをバウに縛り付け、ここから上げ下げする。カッコいいでしょ。


それはさておき、
とにかくこのジェラミーというオーナーが、怒鳴る怒鳴る。

まずは、若い方のエミイが水を飲んでいると、
「水を飲むときは、必ず全員に聞いてから飲みなさい」と、まあそうなんだけど、もっと柔らかい言い方ってもんがあるはずで、でも、ジェラミーの場合、注意というよりも叱責とか叱咤って感じ。それも良く通る大声なもんだから、新人エミイとしてはそれだけでもう萎縮してしまう。
ジュニアの頃からOPに乗り、ユースの年代になってからはマッチレースをやっている若エミイは、このメンバーの中では、たぶん一番ヨットはうまい。
でも、セーリングに関してもジェラミーからいちいちトンチンカンな命令を受けて困惑気味だ。

人種差別的なものもあるのかな? 20才のマレー人ごときがワシよりヨットがうまいなんてアリエナイって感じ?……とも思ったけど、他のメンバーにも怒鳴り散らす。絶え間なく。意味もなく。

1レグめが終わり、パーティー会場でデビットとクレアと3人になったとき、
「タカはこの船長いの?」と聞くので、
「いや、3回め」と答えると、
「なんだそうなのか。なんであの男はあんなに怒鳴るんだ?」
「え?デビット、友達だったんじゃないの?」
「いやいや、隣に住んでる人の友達ってことで呼ばれただけ。あんなに怒鳴る奴、見たことない」
と、あきれ顔。
なんたって、最初にフィニッシュした後、「舵を替わろう」と申し出たデビッドに「言っとくが、これはワシの船だからな。ぶつけたら承知しないぞ」と大声で怒鳴りつけてからキャビンに入るオーナー。デッキに残るワタシら、目がテンになって顔を見合わせましたよ。
奥さんのクレアもこの時はまだヨットには乗っていなかったんだけど、その「変」さには気がついているようで。「ぜ~んぜん友達なんかじゃないわよ」とすでに批判モード全開。こういう時は女性の方が強いんですよね。

この人、カーっと激怒した後は一気に笑顔満開になり饒舌になるから余計扱いが難しい。医者に診て貰う必要があるかも。
いや、たんに怒鳴るだけならまだいいんだけど、その指示が何もかもトンチンカンなんですな。

どこがどうトンチンカンなのか、一々挙げつらっていてはキリがないんだけど。うちのカミさんに言わせれば、何がどうトンチンカンなのか、中には「あるある」ってケースも結構あるだろうから、細かく書いたら他のヨットでも役に立つんじゃないの? ということなので、忘れないうちにまとめておいて今度書きます。

若いエミイは、自分が今まで習ってきたセーリングの常識とはまったく逆の事で怒られることが多く、しかし大人しい子なので言い返すこともできず。
まあ、ワタシらの考える「普通」な常識が、すべて正しく正解なのかともいえないんだろうけど、少なくともうまくいかないやり方は変えて試してみる価値はあろうかと。

最初は何点か指摘したんだけど、まったく聞く耳持たずのオーナーなので、もういいや、と言われた通りにすることにしているのです。
エミイにも、
「オマエの理解の方が正しいからね。でも、これが大人の世界。言われたとおりにやるしかないぜ」「うん、ワカッタ」と、親子ほども歳が違う我々2人ながら、同じ常識を共有しているせいか妙に馬が合いつつコクピットで奮闘する。
が、間違った指示が故にトラブルになったらそれは全部相手のせいにされ、またこっぴどく罵倒されるわけ。

かつてはマレーシアに住んでいて、ジェラミーとこの船に乗っていたスチーブもいい加減頭に来、そりゃそうですわな、マストから前のトラブルは全部彼らのせいにされちゃうんだから。
唯一金を貰って雇われているエミーなんかは、そりゃもうこき使われる。ビルジ汲みやら力仕事はだいたい彼が指名でやらされるので、こちらは楽といえば楽なんだけど。彼にしてもそれでお金貰っているんだからしかたないといえばしかたないんだけど。まあ、その扱いは過酷。
この国では、使用人と雇用主の立場の違いというのは日本よりハッキリしていて、たとえばごく普通の共稼ぎの家庭でも、小さな子供がいる家ならメイドを雇うのは珍しくない。で、メイドに対する虐待が発覚し、ニュースになることもしばし。この国では、貧富の差というか格差、階級差はアリアリなのです。

と、まあそれでもみんな大人だし、海のまっただ中でおかしなことになるのは最悪なので、みな我慢して、船は進む。

     ※    ※    ※

最終目的地であるランカウイ島へのアプローチ。風速15ノットのジブ・リーチング。このままなら夜が明ける前にフィニッシュできそう、と、気持ちよく最後の走りを楽しむ……はずなんだけど、舵を持つジェラミーは船を真っ直ぐ走らせることができない。買ったばかりのGPSプロッターをブラケットでコクピットに取り付け、こちらとしては邪魔なだけではなく眩しくてまったく前が見えなくなってしまうので外して欲しいんだけど「600リンギもしたんだからな。壊したら弁償だぞ」と怒鳴りつつ、ジェラミーはその画面を凝視して舵を持つ。コンパスライトが壊れてるってのもあるんだけど、水平線上にはいくつも灯りがあるので目印には困らないはず。つーか、GPSのプロッター画面凝視して真っ直ぐ走れないわな。

前の方ではスティーブが「コースずれてるぞ」「コース」と一々指摘する。なんたって、60度以上蛇行しながら走っているわけだから、デッキにいてもすぐわかる。でも改善される兆しはないので、やがて諦めてふて寝に入るスティーブ。
エミイは既に熟睡中。

デビットが、「赤灯3回が本部船。ピンエンドは白のフラッシュだから、探してくれ」というので、身を乗り出そうとしたら、「動くな」とジェラミーが怒鳴る。ならばとこちらも「勝手にしてくださいよ」モードに。それでも船が大きく蛇行した隙をみて、ワタシと若エミイとでフィニッシュラインを確認することができた。
「もっとシモだよ」「もっと」「フィニッシュはシモだって」とシツコクいっても訳知らず。スティーブとエミイはデッキで寝ちゃっているのでワイルドタックでもしたらかなりヤバイことになりそう。
たまりかねてデビッドが舵を持つも、おっさんも舵を離さない。二人で舵を持ちフィニッシュラインに向かう。が、何故かフィニッシュラインの外側を通る。ワタシと若エミイが「???」と顔を見合わせていると、いきなり「タック~、タカもたもたするな」と怒鳴るが早いか舵を切るのが早いか。なんだよフィニッシュライン間違えてんじゃん。デビットはハッキリとこちらに指示していたんだから、どうやらジェラミーが「いつもフィニッシュは本部船が左だ」と強弁したもよう。それでも悪びれることもなく、さらにそのままジャイブし「早くジブ引け」と怒鳴るのみ。こんな夜中にクルクル船回されて対応できるかってんだ。
さすがにワタシも頭に来、
「何やってんだよ、さっきからよー!!」とウインチ回しながら怒鳴り返す。
これ、日本語なので、日本語分からない人には、
「最後の一巻き、頑張るぞ~!!」
と気合いを入れているようにも聞こえるはずなんだけど、若エミイは、
「おお、タカさん、ついに切れた」とでもいいたげに、ウヒョヒョと笑いながらテーリング。つーか、オマエがウインチ巻けよ。


まあ、なんとかフィニッシュ。その後もリーチングでグイグイ走り続けているので、
「マリーナどこだか分かってんの?」
とワタシ、今度は英語で。すると、
「知らない」
という。
「じゃ、今どこに向かって走ってるの?」
というと、いきなり、
「ジブダウン! 早くしろ、もたもたすんな」
とここでも命令口調でいうので、
「夜なんだから、何やるにしても準備の時間ってものが必要なの。しかもフィニッシュした後なんだから、焦る必要ないでしょ」とワタシ。
艇上はシーンとなる。あ、後ろに座ってたクレアが「オホホ」と笑った。
普通ここは、とりあえず、互いに握手なんかして「お疲れさん」とか「グッジョブ」とか言い合って、落ち着いてから、「とりあえずジブ降ろすか」なんて流れになるはずなんですけどね。ワタシの常識では。

ハリヤードをさばき、バウも用意ができたのでジブを降ろす。……つかもっとバウアップしないと、ジブ降ろせないよ。で、バウアップしすぎてタックしてしまいバウの2人はセールになぎ倒され、「何やってんだよ!!」と最後の怒鳴り声がバウから返って来たのでありました。


いやー、無事にランカウイについて良かった。

たまにはとんでもないことが起きないと、人生つまらないのかもね。
そう考えると、結構楽しいラジャムダー・インターナショナル・レガッタでした。
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by Takatsuki_K | 2010-11-30 17:46 | ヨットレースを考える

レースが続きます

週末、日本ではオンザウインドカップがあったもよう。
「レース運営手伝って」と言われてたんですが、こっちも今週末からいよいよラジャムーダレガッタなもんで、その準備です。

降ろす物いっぱいありそうだなぁと重労働の覚悟していたんだけど、そのまま行くらしい。うーむ。
いや、結構細かいんですけどね。スタントリムになっているから、アンカーはバウのロッカーに積むとか。
いや、重量集中の為にマストのすぐ前あたりに積んだ方がいいんじゃないの? と思うんだけど。ワタシに言わせれば余計な物、沢山後ろの方に積んでるし。

このオーナー、イギリス人で、若い頃はフライングダッチマンでオリンピックのセレクションに残ったほどの人なんだそうな。
あの、キース・ムストーがイギリス代表になりオリンピックでメダルを取った時……っていうけど、オーナー60才だって話で、なんか年齢が合わないなぁ。ま、いいか。

ヨットの上での常識って、人それぞれなのかもしれません。
でも、この前まで乗っていた英国人ピーター・グリーンも含め、ここ20年くらい一緒に乗ってきた人達とは同じ常識を共有してきたもんで、今回はちょっと戸惑ってます。

まあ、うまくいかない時ほどドラマはあるわけだし。今回は面白い記事が書けそうではあります。
若い頃の新鮮な驚きを思い出すというか、なんというか。

土曜日(20日)スタート。
ということで、次週はこのコラム、更新できません。

   ※   ※   ※

今週末からのラジャムダレガッタは、最後はランカウイでフィニッシュ。
ここはタイとの国境の近くでして、レース後タイまで回航し、12月にはキングズカップに出る艇もあるみたい。
で、キングズカップが終わったらランカウイに戻ってきて1月はロイヤル・ランカウイレガッタがあります。
全部連戦する艇も結構あるみたいで、どんだけ仕事休めるんだよと。

生活の豊さってのは、年收もさることながら、どんだけ休みがとれるのかって事でもあるんでしょうなぁ

で、こちらランカウイレガッタの方は、〈エスメラルダ〉のオーナーが別の艇をチャーターして出場することになり、ワタシも乗ることに。1月はカミさんとベトナム旅行の予定でチケット買ってたのにぃ。

〈エスメ〉の連中と乗るのは久しぶり。……って、昨年も9月に米国ニューポートでNYYCのインビテーショナルカップに出たばかりか。だいぶ若い連中が入ってきているみたいですが、まあ気心の知れた仲間です。

チャーター艇のオーナーは以前こちらに書いたビンセント・チャンという43才のマレー人。
まだ一緒に走ったことはないんだけど、話をしているかぎり、ヨットの常識は共有できる。艇は「これならエスメのオーナーも満足できるだろう」というレベルで、いや、なかなかこういう艇がチャーターに出ることは無いんですよ。

準備も彼と二人で進められます。こちらの要望はすべて理解してくれるので、楽です。

ビンセントが地元のユースセーラーのスポンサードもしているのは前に書きました。
ということで、1月のランカウイレガッタでは、彼と、若い地元のセーラーも一緒に乗せることに。

なかなか有意義なジョイントになりそうです。
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by Takatsuki_K | 2010-11-16 19:02 | ヨットレースを考える
ワタクシ、かつては海童社という会社をやっておりました。
カタログやイメージビデオ撮影時のロケーションサービスとか、ヨットレースの運営なんかも手広くやる海の人材派遣業みたいな感じでしたが、元々はヨットやボートの回航業から始まりました。
回航とは、船をどこかへ運ぶ仕事です。自走していくわけですね。お金を貰ってヨットに乗っていられるという、楽しいお仕事で、バブルの頃はいっぱい依頼があったんです。

で、ワタシは一度も海上保安庁のお世話になったことは無いのですが、あ、小笠原で無線機のフューズを外されたおかげで遭難騒ぎになった事はあったか。ま、あれはあれとして。救助されたことはありません。

さて以下は、同じ海童社の仲間のお話。聞いた話なのですが、思い出して書いてみます。

たしか、ボートショウに出展するための大型モーターボートを関西方面から晴海に回航する途中だったと思います。
新艇ってのはよく壊れるのです。で、進水直後はシェークダウンが必要なのですが、ワタシら仕事なんでそういう船でも、いきなり回航させられるわけですね。無事回航が終わればシェークダウンも完了だったりして。回航屋はシェークダウン屋でもあるわけ。

このときも、まあありがちのエンジントラブルです。
ヨットならいろいろ工夫ができるのですが、モーターボートはエンジンが壊れたらおしまい。海上でなんとか直すしかない。でも大きなエンジンは我々では手に負えないので、モーターボートの回航ではエンジン屋さんを必ず一人乗せていってました。
このときもエンジン屋は乗っていたのですが、揺れる沖合、狭いエンジンルーム内での作業はやっぱり過酷なもの。なかなか直らず、船は沖へ沖へと流されていき、いよいよ携帯電話が繋がらなくなりそうになったので悩んだ末に海上保安庁に連絡、救助を要請することにしました。

携帯電話ってのも、確かこの頃は海上では使っちゃいけなかったんじゃなかったかなぁ。携帯電話がまだお弁当箱くらいの大きさだった頃のお話です。輸入艇なんかだとVHFの無線機が付いたままだったりしていたんですけどね。
回航屋としては確実な連絡手段は絶対必要だったので、当時まだバカ高かった携帯電話を持っていたわけ。海上からでも使ってました。すいません。
ま、日本の無線に関するお話はまた別の機会に。

海上保安庁に連絡するとすぐに巡視艇がやってきます。心強いものです。ありがたいものです。
とはいえ、
経験のある方はお分かりだと思いますが、曳航ってかなり大変な作業なんです。
引く船も引かれる船も別々に波に揉まれるわけで、そのうえお互いの質量が大きいので曳航索には大きな力がかかります。ショックを吸収するためには曳航索を長くして、海面に浸かるくらいにしたりします。

となると、通常プレジャーボートに付いているような係船用のクリートなんてのはヤワすぎてお話にならず、このときはキャビンの構造物をぐるっと回すように大回しでロープをとったそうです。
「助けて貰っておいてずーずーしいとは思いますが、客から預かっている大事な船なので、なんとか傷つかないようにしていただけないでしょうか」
と恐る恐るお願いすると、
「承知しましたっ!!」との一声で、巡視船から毛布やらなんやらいっぱい持ち込み、ロープがボートに接する部分を完璧に養生し、そりゃもうみごとな手並みで最寄りの保安部まで曳航してくれたとのこと。

無事救助され、庁舎に移動し調書をとられるわけですが、なんかこういうのって始末書を書かされる感じ? 「世間をお騒がせして申し訳ありませんでした。今後は注意します」みたいな。……と想像してしまうのですが、実際は単にどこで何があったのかという報告書を作成するだけみたいで、ここでも犯罪者あつかいされるようなことはまったくないんだそうな。

それでも、救助された側としては恐縮しっぱなしで、「ご迷惑をおかけしました」というと、海上保安庁にとって最も大変な仕事(迷惑な仕事)は密漁船の取り締まりであって、救難活動ならいつでも喜んで出動する、と言われたそうな。あげく、「今後は気をつけるように」みたいな嫌みは一切言われず、現場の人達も含めて極めて紳士的な態度……というか、同じ海の仲間という感じで、最後にもう一度、救助してくれた巡視船に挨拶に行こうと思ったら、もう出動した後だったそうな。


話は変わって、今月は、クアラルンプールから200マイルちょっと離れたランカウイまで行くロングレースがあるんだけど、その準備の最中、他のメンバーに、
「そういや、なんかあったら、(マレーシアの)コーストガードは助けてくれるの?」と聞くと、全員一致で、「ハンッ」と笑い飛ばされた。来るわけネーよということらしい。


日本国海上保安庁の皆様、日々のお勤めご苦労さまです。
バカ政権に酷使されているみたいですが、何かこちらにできる事があるならば「いつでも喜んで」全力でバックアップいたします。
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by Takatsuki_K | 2010-11-09 13:30 | 個人的な話

坂本 残念賞

先週は忙しかったなぁ。
火曜日に記事をアップして、そのままクアラ・トレンガヌへアジアンマッチへ出場の坂本チームの応援に。

会場となるクアラ・トレンガヌはマレー半島東海岸にある大都市です。西海岸、クアラルンプールにある我が家から、車を飛ばして5時間くらい。高速道路が続き、なかなか快適なドライブです。ドライブを楽しみたかったというのも、応援に行った理由。

マレーシアの場合、西海岸と東海岸では雰囲気はだいぶ違います。
かつては英国の植民地だったマレーシア。といっても、英国の支配地域はシンガポール、マラッカ、ペナンといった西海岸。東西交通の要衝であるマラッカ海峡に面した西海岸の街には、独立後も西洋色が強く残っていますが、クアラ・トレンガヌのある東海岸はにはマレー色が濃い。マレー人自体は、日本人と近しい部分が多いと思うのですが、なんといってもイスラム教。
日本には、本来の仏教、神道に加え、キリスト教の影響もかなりあると思うのですが、イスラム教はほとんどない。いや、あるところにあるみたいだけど。我々日本人から見るとイスラム教というのは、かなり遠い存在ですよね。

これ、宗教の教えそのものというよりも、宗教からくる日常生活の決まりみたいなのが、日本のそれとは大きく異なるわけ。豚肉ダメだし、お酒もダメ。
同じマレーシアでも、多民族が暮らす西海岸の街なら、そのあたり、自由度高いんだけど。

と、宗教上の違いはあれど、東海岸の海は綺麗で、クアラ・トレンガヌは、沖合にあるリゾートアイランドへの中継基地としても有名です。観光客はトレンガヌの飛行場に降り立ち、ここからフェリーで島へ渡る。
が、冬場は季節風(モンスーン)が強く、リゾートアイランドはすべて閉鎖されてしまいます。全回のボルボ・オーシャンレースフリートが南シナ海~東シナ海で苦しめられた、あのモンスーンです。
マレー半島東海岸の各地では漁業もお休みとなり、商店街にはシャッターが閉まり、街中閑散としてしまうんだそうな。

そいつをなんとか盛り上げようと、国策で誘致したのが、ワールドマッチレースツアーの最終戦であるモンスーンカップというわけ。
本来、ヨットレースが盛んな場所ではありません。それどころか、ヨットって何? という感じの街にワールドマッチレースツアーの優勝決定戦を持ってきてしまったんだから、その営業力はすごい。それが今でも続いているんだから、その財政力もすごい。

モンスーンカップはこれまで何回か見てきましたが、会場も運営もすばらしく、これぞマッチレーススタジアムという感じ。
マレーシアの広告代理店って、規模は小さいけど、いい仕事しています。……と、元大手広告代理店にいたうちのカミさんが感心していた。
いや、規模が小さいからこそ、小回りがきいて動きがいいのかも。

で、白人のノウハウはすべて取り入れる。変に拘らずに自分たちが持たないものはすべて受け入れる、というのも重要なことなのかも。
同じ東南アジアの国々でも、インドネシアやベトナムは、独立後にかつての宗主国のやり方を全否定したため経済的に行き詰まってしまったのに対し、マレーシアが経済的な繁栄をみたのも、変に拘らずにかつての宗主国である英国が築いたルートをそのまま活かしたからなんだろうなぁと感じます。


で、マッチレースの方、坂本は準決勝には進んだものの、そこで敗退。結局、3位に。
アジア予選といっても、坂本、香港、以外は全部白人で、一応、オーストラリア、ニュージーランド、英国は25才以下のユースの選手ということにはなっているようですが、かなり手強い相手が揃っていました。
そんな中、見ている限り、対等に戦っていたんですけどねぇ。
マッチレースって、力の差がもろに出るようで、「こりゃ100回やっても勝てねーな」と思えるような対戦もあるわけですが、このメンツの中での坂本は、優勝してもおかしくないレベル。惜しい。
まあ、今の日本のマッチレースのレベルは、欧米のユースと同じくらいってことなのか?

とはいえ、マッチレースに「惜しい」はなく、1位にならないかぎり負けなんでしょうけど。残酷な競技だなぁ。

      ※    ※    ※

自宅のあるクアラルンプールへ戻り、土曜日はRSYCの年間シリーズ最終戦。終わって夜は表彰パーティー。いつもと違って、全員着席でディナー。バド・ガールみたいな、タイガー・ガール付き。西海岸ではイスラム色薄いですからね。ミニスカのタイガー・ガールですよ。トレンガヌでは考えらんない。

それより、昼間のレースに地元の若者が乗りに来たのが興味深かった。

RSYCでは、ジュニアのOPも結構盛んで、ユースに成長するとプラトー25に。今回乗りに来たエミィ君(20才)は、モンスーンカップのマレーシア国内予選にも出場。敗退はしましたが、かなり活発に活動しているのです。
彼らの目標は、この国内予選勝ち抜きにあるようで、東海岸で行われるモンスーンカップは、西海岸の若いセーラーにも大きな意味があるというわけ。

ワタシらオッサン連中の乗るキールボート班とは週替わりでプラトー25のレースがあり、こうしたユースの連中中心に活発にレースを行っているようですが、下からどんどん上がってくるので、20才くらいになるとはみ出ちゃうのかな? 
でも、こちらオッサン班は白人が多く、ローカルマレー人オーナーの艇はあまりレースに出てこないんだよなぁ。
このあたり、たぶんこれから変わってくるとは思うけど。
まあ、もうちょっとウオッチングしてみます。
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by Takatsuki_K | 2010-11-02 14:28 | ヨットレースを考える