ヨットの事を考える評議会


by Takatsuki_K
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

<   2011年 07月 ( 4 )   > この月の画像一覧

前略 アルキメデス様

Twitterを見ていて、自分自身間抜けな勘違いをしていたので、改めて書いてみる。
まあ、今更……なんですけど。

四角い箱が水に浮いています。
水面下では箱全体に水圧が働き、これが浮力となります。
f0171353_11461767.jpg

浮力は、水に沈んでいる部分の体積に相当する水の重さと同じ。
アルキメデスの原理ですよね。

そして、浮力の作用点(浮心)は水に沈んでいる部分の容積中心にある。
f0171353_11473212.jpg

これは断面なので、面の中心(重心)。四角なので、そのど真ん中ということになります。

ここで、Twitterである方のつぶやきを見ていて、水中で受ける水圧はどの部分でも同じだよなぁと勝手に思っていたことに気がついたワタシ。上図の赤矢印のように。

これは違いますよね。
水圧は水面からの距離に比例して大きくなるので、この箱が受ける水圧はざっと下図のようになるはずで、
f0171353_11483664.jpg

水面からの距離をヘッド(水頭)というんだそうな。
うーん、大学で習ったはずなんだけど、まったく覚えていません。ワタシ、船舶工学科だったんですけど。オハズカシイ。

……となるとですよ、浮力の中心はもっと下の方にあってもよさそうなもんだよなぁ、と、上の図をイメージして唐突に思ってしまったわけです。

改めて、バカですまんす。

左右の壁にかかる水圧は横向きで、お互いに相殺しあうので、この箱にかかる上下方向の水圧は底にかかっているものだけ。上辺は水面上にあるので、水圧はゼロ。

よって、水面と底のちょうど中間部分に浮力の中心があって当然ですよね。


じゃあ、この箱が潜水艦のように完全に沈んでいたらどうなのか?

一辺が1の箱だとして、水深2の地点に沈んでいるとすると、
箱の上辺にかかる水圧は1。底にかかる水圧は2。差し引き 1の浮力があることになる。
f0171353_11495973.jpg

この箱の重さがちょうど1ならそこで静止し、1より重ければ沈んでいく。
つまり、沈む物にも浮力はあるってことですよね。

上辺にかかる水圧と下辺にかかる水圧の差が浮力になる。
浮力はあるけど、それより重いから沈んでいく……と。

水深が深かろうが浅かろうが、上辺と下辺の差だから、どこででも浮力は同じ。
たとえば、水深100の地点なら水圧は100ですが、それでも、
底(100)-上(99)=1 で、浮力はやっぱり1
ただし、水深2の地点では底は2で上辺は1だから、底辺には上辺の2倍の水圧がかかっているが、水深100の地点では100と99だから、1.01倍の違いしかない。

話を戻して、
逆に、重さが1より軽ければ、この箱はここに留まっていられず、浮いてしまう。
仮に重さが0.5なら、底にかかる水圧が0.5になるところ──つまり、水深0.5の地点で浮かんで力が釣り合っている。
f0171353_11544232.jpg

ということは、底の面積が半分だったら、水深が2倍の1のところまで沈んでやっと釣り合う。
f0171353_11554853.jpg

なんかバランス悪そう。
で、ひっくり返ると、こう。
f0171353_115648100.jpg

底の面積が元の倍、2になったので、水深は半分の0.25で済む。

まあ、これを漠然と言えば、
「その物体がおしのけた流体の重さと同じ大きさの浮力を受ける」
というアルキメデスの原理になるわけだけど。受ける水圧ということから考えると、こう説明できるということですよね。

例に挙げたのは四角い箱なので、横の壁面にかかる水圧は浮力にはならない。「屁の突っ張りにもならない」とでも言えばいいのか。船を潰す力になるだけで、浮力にはなんら関わっていない。
単に、底の面積と吃水を乗じたものが浮力になる。
そして、浮心はその中間地点にある。

まあこれは壁面が垂直になっている四角型だからなのですが、形が変わればもっとヤヤコシクなってきて、たとえば、ちょうど半円の部分が水面下に沈んでいる物体がこれ。
f0171353_1233452.jpg

やはり水圧は水深が深くなるほど大きくなるのですが、水圧はその表面に直角に働くので、矢印の向きはこうなります。

底の部分以外にも、上向きの力(浮力となる成分)が加わっていることになりその総和が浮力となり、ベクトルを合成すれば、浮心が求められる。……わけだけど、それが「容積の中心」ということですね。

図は断面なので面積の重心。
半円の重心を計算で求めると、幅が1(半径0.5)だとすると、
4×0.5/3π=0.21
円の中心から0.21下の点が浮心となります。(図の赤丸)

計算で求めたのでは「ハイハイそうですか」ということになってしまうので、なんとか作図で求められないものか?
作図で求めれば、「なぜ容積の中心が浮心になるのか」もっと合理的に説明できそうなんだけど。
……ダメ、難しい。
なんか名門中学の入試試験とかに出てそうだけど。

いやこれ、台形だとしても、作図で重心を求めるの、結構難しいなぁ。


以上、話がヤヤコシクなるので、それぞれの数字に単位は無し。さらにいえば、浮力には水の密度も関係しているのですがそれもすっ飛ばしました。

なんでヨットは浮いているのか? アルキメデスさんの偉大さをオモンバカリつつ、改めてデッキの上にいる夏休みというのも、これまた感慨深いもので……。

 前略 アルキメデス様     
                      暑中お見舞い申し上げます。
[PR]
by Takatsuki_K | 2011-07-26 12:30 | ここだけの話
先週末はペナン(Penang)に行ってきた。
クアラルンプールから北へ、車で高速を飛ばし約3時間。バタワースから長い橋を渡った先がペナン島だ。

面積は約1000平方キロというから、淡路島(592平方キロ)、佐渡島(855平方キロ)より広いのか。
でも、島の中央部分全域が山で、西岸はマングローブの湿地帯となっており、人が住める平地は少ない。人口約1万5千人というけれど、かなりゴミゴミした印象だ。

「東洋の真珠」と呼ばれるリゾート島である、と観光ガイドには書いてあるかもしれないけど、それは昔の話。今ではペナンからさらに約35マイル北にランカウイ島がありリゾートの中心はそちら。マレー半島東岸にはさらに隠れ家的絶景の孤島がいくつかあるらしいし。
……ということで、ペナンはリゾートアイランドではない、とハッキリ宣言しておきたい。
7世紀くらいからの海上交通の要衝であったことは確かで、商都といった方がいいかも。
f0171353_14193452.jpg

さて、前にここでも『KAZI』でも紹介したロイヤル・セランゴールヨットクラブのマネージャー、ジョン・ファーガソンが、ペナンに新しくできたマリーナに引き抜かれたのは昨年末のこと。
ところがその後の噂では、海流の関係でマリーナ内に大量のゴミが流入しとんでもないことになっているらしい、とか。流砂で、掘っても掘っても埋まっていってしまうらしい、とか、良くない話ばかり耳にしていた。
さあて、その後どうなったのかなぁと思っていたら、ここにきてジョンから「写真撮りにおいでよ」とのお誘いがあった。
f0171353_1420784.jpg

ということは、やっと軌道に乗ったということか。写真を撮るに足る状況になったということか。
さてさてどんなもんか、ちょっくら様子をみてみるかと、今回のドライブになったわけ。

夕方、ペナン着。
かつてKLに住んでいたお友達のコンドに宿泊。夜はテレビでツールドフランスを見てショボい勝負にガックリし、翌朝7時からそのお友達に連れられて近所の小高い丘の上まで散歩する。自転車じゃなくて歩きです。
大邸宅が並ぶ道を30分ほど登ると、海を見晴らす丘の上に古いお寺あり。
お寺といっても、岩肌をくりぬいてなにやら祀ってあり、その前のテラスの部分に屋根がかかっているだけという質素なものなんだけど、ここにお散歩クラブみたいなものができていて、毎朝プーアル茶が振る舞われる。
会員制とのことだけど、ワタシもちょっくらおじゃま。
ペナンは特に中華系のマレー人が多く、文化も中華色が濃い。このお散歩お茶クラブも、基本的に華人の集まりのようだ。
なんだかみなさん、やたらと人なつっこい。

朝から山に登り、お茶を飲んでだべって帰る。
こういうのも、結構楽しいですな。


朝の散歩から帰って、いよいよマリーナへ。
Straits Quay(ストレート・キー)という所なんだけど、ホームページ見てもなんだか良く分からなかった。
横浜のベイサイド・マリーナを小さくした感じ……をイメージしていただければよろしいかと。

マリーナに面したショッピングモールの方がメインの商業施設で、海側がマリーナになっている。マリーナはショッピングモールの飾りみたいな感じ。
f0171353_14211741.jpg

飾りっていっても、大型艇80隻分の立派なスリップがあり、水深も3メートル。ゴミの流入も無し。はい、ちゃんとしています。

但し、マリーナ部分を囲う柵の外から大勢の買い物客に観察されるという、動物園というか水族館というか、そんな状態。ベイサイドマリーナよりずっと小さいので、全体が丸見えになっちゃうんですね。

すでに40隻は埋まっているということだけど、オープンしたばかりなのでさすがにまだヨットクラブはできていない。

ヨットで、誰と何をして遊ぶか。ヨットを買ってマリーナに係留しただけでは意味が無く、その先が重要なわけで。そのベースの一つがヨットクラブなんじゃなかろうか。
f0171353_14214966.jpg

ヨットクラブの活動を軌道に乗せるノウハウは、これまたマリーナの運営とは別の話で、マレーシアでもなかなか難しそう。そもそも、ヨットクラブなんて西洋人の発想なんだろうし。ロイヤル・セランゴールヨットクラブも、結局活動の中心となっているのは白人だし。

そのあたりのマネジメントも兼ねて、ジョンが引き抜かれたんだと思うけど、さすがにヨットクラブはまずセーラー達が立ち上がらないとどうにもならないんだろうし。

と考えたところで、朝の散歩で出会った山の上のお茶飲みクラブなんか見ていると、あんなペースでヨットクラブもすぐに軌道に乗るんじゃなかろうか。
……なんて思ったペナン島でありました。
[PR]
by Takatsuki_K | 2011-07-19 14:27 | ヨットクラブを考える

やっぱ、レースでしょ

太平洋横断のトランパックレースがスタート。
オフィシャルサイトはこちら。
日本艇〈ベンガル7〉ちょいと苦戦中?

DIV4の〈Double Trouble〉リタイア……って、やっぱりトラブルに見舞われたのだろうか?

トランパックレースには出たこと無いのですが、エントリーリスト見るとかなり細かくクラス分けしてありますね。
やっぱり、こうしないと勝負にならなってことなのかも。

まあ、トランパックレースは、見て楽しむというより、出て楽しむイベントといっていいのかな?

一方、大西洋横断レースというのもあって、この秋ボルボオーシャンレースに出場するプーマの〈Mar Mostro〉が爆走。2着フィニッシュながら、現在修正トップ。
2975マイルを7日11時間40分ということは、平均デイラン397マイル。
デイランというのは、1日で走った距離です。
通常は正午から正午まで。
普通のクルージング艇だと、デイラン100マイルとか150マイル。1日中サーフィングしながらゴーゴー走ってやっと200マイル超えるって感じなので、デイラン400って、うーむ、爆走。
オフィシャルサイトはこちら。


……なんか、こういうニュース見ていると、日本は「置いていかれ感」あるななぁ。
せいぜいこの秋スタートのボルボオーシャンレースでも見て盛り上がりましょう。

ワタシは、11月にマレーシア西海岸で行われるラジャムーダ・レガッタの準備ですか。その前に、8月末にパンコールまで行くレースに出るって言ってたなぁ。
準備準備。


と、個人的には、今はやっぱりツール・ド・フランスですね。自転車のロードレース。
古い歴史を誇るビックイベントなんだけど、レースフォーマットは主催者任せというあたりが、ヨットレースと似ている。

フランス一周といっても、コースは毎年異なり、平坦なコースなのか山岳か。同じ山岳でも山頂ゴールか否か? 見せ場を作ろうとして石畳の道を入れて大失敗だったりとか、世界中から注目されているだけに主催者は大変そう。

なんだか、選手側のレベルに主催者がついていけてないようで、一昨日はフランス国営放送のオフィシャルカーが選手をひき逃げ。
映像はこちら。
これ、先頭をブッチギリで走っていた5人のうちの2人ですから。事態は深刻。

今年は序盤から落車やそれに巻き込まれるトラブルが優勝候補に及び、波乱の展開です。
これも、コース設定の不備やオフィシャルのコントロールが至らないことによるものか。選手の命にも関わることなので、どうにかしてもらわないと。見ている方も楽しめない。

100年以上の歴史を誇るこの大イベントですらこれですから。主催者というのは大変なんでしょうなぁ。
[PR]
by Takatsuki_K | 2011-07-12 09:07 | ヨットレースを考える

KAZI 9月号 本日発売

先週も、書くのを忘れた。すいません。
先月はいろいろと立て込んでまして、今日は次号の締め切り終わってやっとホッとしたところ。
許容範囲が狭いワタシ。年取るとこうなるのか?

さて、本日発売の『KAZI』8月号。『ヨット百科』こぼれ話編は、ネジについて。
ちょっと書き足らなかったのでここで補足しておきます。

記事中、
-------------------------------
日本で使われているのは、メートル単位のメー トルネジで、ISO(国際標準化機構)に準拠したJIS(日本工業規格) の規格で管理されている。かつてはピッチが異なるものもあったようで、見分けられるように新JISネジ頭には 小さなくぼみが付いているものもある。
------------------------------
と書きました。
かつてのJIS規格のミリネジは、一部ISOのミリネジとねじ山のピッチが異なっていたようで、これでは都合が悪いということでJISの方を改定して新JISとしてISOに合わせたとのこと。
このとき、旧JISのネジと見分けがつくように、新JISのネジ頭には小さなポッチをつけたんだそうな。
そういえば、見たことありますよね。
f0171353_17402920.jpg

実物が無いので、イラストで描いてみました。

現在はすべてISOと同じ新JISに切り替わっており、このくぼみを付ける義務も無くなったそうです。
ということは、くぼみがあるネジは新JISであることがはっきりしますが、一番新しJISにもくぼみが無いわけで、となると旧JISが混じっていても新JISとの違いは分かりにくいということになりますね。

ヨットの上ではかなり古いネジも使われており、確かにインチではないけど合わないなぁ、という経験ありません?
あれは、旧JISネジだったのか?

   ※    ※    ※

外国人とヨットに乗るようになった最初のころ、「プラスのドライバー」という言葉が通じないということを知りました。かなり昔のお話ですが。

アメリカ人は、「フィリップス」といいます。
じゃあ、マイナスは? と聞くと、
「うーん、スクリュー・ドライバーかな」
「これ(フィリップス)もスクリュードライバーでしょ」
「うん。じゃあ、フラットヘッド?」
「ふーん」
と、良く分からない。
売り場では「slotted」って書いてあったけど。
まあ、通常は、単にスクリュードライバーというとマイナスのものをイメージする人が多いみたいですね。特にアメリカ人は。
そうそう、単に"ドライバー"と言ってもまず通じません。"スクリュー・ドライバー"じゃないと。
プラス・ドライバーの方は、単に"フィリップス"というとプラスのスクリュードライバーが出てきます。


記事中、ポジドライブというのが登場しますが、日本では実物が手に入らず写真を載せることができませんでした。
自宅にあったのがこちら。
f0171353_1741283.jpg

何も特殊なものではなく、普通のIKEAの家具に付いてました。ちょっと安っぽくて、本物はもっと溝がカッチリしているみたいなんですが、とにかく、十字の間に小さな溝があります。十次の間には×印の刻印もあり。

対応するドライバーも異なります。
f0171353_17413617.jpg

写真の上が通常のフィリップス。下がポジドライブのビット。
ポジドライブの方が溝が広く、フィリップスのドライバーでも入ります。でもガタができるのでネジを舐めやすいんだそうな。
逆に、ポジドライブのスクリュードライバーだとフィリップスのネジには入らないようで。

写真のビットは、いつどこで買ったのか、覚えていません。

ポジドライブのスクリュードライバー、近所のやや大きめのDIY店で探してみましたが売っていませんでした。
どちらかというと米国より欧州系の文化が強いマレーシアですが、工具はアメリカンなようです。


ネジの話、結構奥深くて面白いので、すべてのねじ山、ナットをずらっと並べてページ作りたかったんですけど。
ヨット雑誌だからなぁ。

日本の書店行けば、この手のマニアックな雑誌があるのかな。
[PR]
by Takatsuki_K | 2011-07-05 17:43 | ここだけの話